モールに壊されかけた100年市場を、露天商たちが守り続けている
Warwick Junction
2009年のモール化計画への抵抗から17年。2020年の封鎖では9市場・約8,000人の露天商が影響を受け、2026年6月時点でも壊れた水回りをNPOが仮設で補っている。
何をしたか
南アフリカ・ダーバンの交通結節点ワーウィック・ジャンクションで、100年続く青果市場「アーリー・モーニング・マーケット」を露天商たちが守り続けている取り組み。2009年、eThekwini市はワールドカップ(2010年)に向けた再開発の一環として、この市場をショッピングモールに建て替える計画を進めた。 これに対し露天商・労働組合・市民団体・NGO・建築家・都市計画家・研究者が結束して反対し、支援団体 Early Morning Market Support Group が2009年5〜6月に抗議行動を行った(Maharaj 2010)。
ダーバン市当局は当時、反対する側を「貧困層がモールの恩恵を享受するのを妨げている」「投資の好機に反対している」などと評したとマハラジは書いている(Maharaj 2010)。2023年発表の同氏の論文は、この計画を1994〜2004年の参加型の都市再生(Warwick Avenue Triangle の改修)と対比させ、2004〜2014年にかけて参加型の計画が覆されていった過程として位置づけている。
誰が始めたか
反対運動を担ったのは露天商自身と、彼らを支える広範な連合だった。 Maharaj(2010)は、traders, street vendors, unions, civics, NGOs, architects, planners, academics and researchers が一致してこの取り壊しと立ち退きに反対したと書いている。抗議の主体として名前が挙がるのが Early Morning Market Support Group で、2009年5〜6月に抗議行動を行った。
NPO Asiye eTafuleni も、この市場で働く露天商を支える組織である。 2026年6月16日の Daily Maverick によれば、共同設立者の一人 Patrick Ndlovu が率いる同NPOは、ほぼ20年にわたってこの場所で活動し、露天商が自分たちの権利を知り、この街の経済における自分たちの居場所を正当なものにするのを支えてきたという。
都市当局の側では、モール計画を進めたのは eThekwini市の Strategic Projects Unit と「2010プログラム」だった。 Maharaj(2023年論文の書誌ページ注記)によれば、この計画は官民パートナーシップとして提示されたが、その意思決定には与党ANC政権幹部の一部も関与していたという。
いくらかかったか
参照した4本のどこにも、モール計画や市場整備にかかった総事業費は書かれていない。 unknown_fields に funding_scale を申告した。
分かるのは、個々の露天商の収支の規模である。 2026年6月の Daily Maverick によれば、16年にわたって高架下で古着と靴を売ってきた露天商の一人(55歳)は、1日の商いで300ランドを得られれば、その中から帰り道に食料品を買うという。約30年にわたって露天商の荷物を運んできた運搬人の一人は、荷車が穴にはまって壊れた際、修理費50ランドを工面できず、およそ2週間分の収入を失った(誰かがその現金を渡してくれて再開できた)。
真似するなら最低何が必要か
この事例で真似できる単位は、モールという建物への反対そのものではなく、反対を横につなぐ形と、その後を支える専従の組織である。
第一に、すでにある参加の土台を持っておくこと。Maharaj(2023年論文の書誌ページ注記)によれば、この市場を含む Warwick Avenue Triangle は1994〜2004年に参加型・協議型のアプローチで改修されており、2009年の反対運動はゼロから立ち上がったものではなかった。
第二に、業種を超えて反対の輪をつなぐこと。Maharaj(2010)が挙げる反対の担い手は、露天商・労働組合・市民団体・NGOだけでなく、建築家・都市計画家・研究者にまで及んでいる。商売の当事者だけで抱え込んでいない。
第三に、権利を代弁し続ける専従の組織を持つこと。NPO Asiye eTafuleniは、2026年時点で「ほぼ20年」にわたって露天商の権利についての知識と、経済における居場所の正当化を支え続けている(Daily Maverick 2026年6月16日)。一度の抗議で終わらせていない。
第四に、行政が直さないインフラを自分たちで応急処置すること。6年間壊れたままの公共トイレ区画に対し、NPOは仮設の男性用小便所と女性用の個室を設置した。直るのを待つだけにしていない。
今どうなっているか
2026年6月16日時点の Daily Maverick の取材によれば、ワーウィック・ジャンクションの市場は今も営業を続けているが、状況は楽観できるものではない。
気候面の負担が新たに報じられている。 ワーウィック・ジャンクション周辺は舗装・建物に覆われた「ヒートアイランド」で、市の気象観測点より5〜10度高くなるとされる。先の古着と靴を売る露天商は、直近の夏について「本当にひどかった」と述べ、屋根があればと語っている。
インフラの老朽化も続いている。 市場の公共トイレ区画は6年間壊れたままで、NPO Asiye eTafuleniが仮設の小便所と女性用個室を設置して補っている。
2020年の新型コロナ封鎖は、この市場の脆弱さを浮き彫りにした。 GroundUp(2020年4月23日、Asiye eTafuleni職員 Sarah Heneck による寄稿)によれば、3月27日以降、9つの市場で働く約8,000人の露天商の大半が営業できなくなり、野菜・果物商のみが特別な許可のもとで営業を続けた。
2009年のモール化計画そのものがその後どうなったかは、参照した4本からは確認できない。 分かるのは、2010年・2020年・2023年・2026年と、市場と露天商をめぐる報道・研究が途切れずに続いていることであり、市場そのものは2026年時点でも存続している。
出典
- The struggle for the Warwick Market in Durban — EchoGéo(2010-09-20)
- Covid-19: Informal traders will need support after the lockdown — GroundUp(2020-04-23)
- Structural violence and the subversion of participatory planning—the struggle for the Warwick Market in Durban, South Africa — City(Routledge/Taylor & Francis)(2023-07-04)
- Cooked: the precarious life of informal traders in a heating world — Daily Maverick(2026-06-16)
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