国防部所有の廃屋(元将官の官舎)を高齢者の共同食堂に変えた。食品銀行と学習室、非行少年向けカフェも同じ団地から生まれた
南機場樂活園地
開始年は出典から確認できず、報道は2017年から2023年にわたる。2021年のMOT TIMESは自宅を担保にした多額の借入れを報じ、2023年の天下雜誌は毎日150人超が並ぶ無料パン配布と、廃校危機を機にした新しい福祉拠点の建設を報じている。
何をしたか
台北市中正區忠勤里(南機場)で、国防部(国防省)が所有していた空き家(Right Plusの原文で「將軍宅」=将官用の官舎)を、里長の方荷生が地元住民と共に片づけ、高齢者向けの共同食堂に改修した。Right Plus(2019年)によれば、その官舎は長く空き家のまま電線や水道管まで抜き取られて売られ、ごみが積まれる問題の場所になっていた。方荷生は議員らの協力を得て国防部の同意を取り付け、半年ごとに更新する契約でこの空間の使用権を得た。改修後は「南機場樂活園地」と呼ばれる自炊自食の共食堂になり、ETtoday(2017年)は、この計画が民国紀年で99年に生まれたと書いている。同じ団地の一角には、のちに食品銀行や学習室、非行少年向けのカフェも加わった。
誰が始めたか
先に始まったのは高齢者への個別の配食だった。 Right Plus(2019年)によれば、方荷生は1998年に忠勤里の里長に当選し、2002年から独居老人への配食サービスを始めた。同記事の編集部による前書きは、その翌年に「南機場社區發展協會」を設立したとしている。ただし同記事の本文は、方荷生が「社團法人臺北市臻佶祥社會服務協會」を設立したと書いており、同じ記事の中で運営組織の名称の書き方が割れている。ETtoday(2017年)も「社團法人台北市臻佶祥社會服務協會」の名称を使い、MOT TIMES(2021年)は「南機場社區發展協會」の名称を使っている。両方とも方荷生が主宰する同じ体制を指すとみられるが、参照した出典からは名称を1つに絞れない。
空き家の官舎を使えるようにしたのは、里長という立場と国防部への交渉だった。 Right Plus(2019年)によれば、方荷生は空き家になっていた官舎に目をつけ、議員や立法委員の協力を求めた。国防部の同意のもとで地方検察署の社会奉仕プログラムに申請し、住民らとともにレンガひとつ、ごみひとつまで片づけた。最終的に国防部は半年ごとに更新する契約で、里長がこの都市の空き空間に入って使うことを認めたという。
いくらかかったか
総額は、参照した4本のどこにも書かれていない。 書けるのは個別の費用感である。
ETtoday(2017年12月)によれば、食品銀行は家賃だけで月1万6千台湾元かかり、水道光熱費・電話代・志願スタッフ50〜60人と常勤スタッフ7〜8人分の人件費を含めると、年間の運営費はおよそ100万台湾元強で足りるという。政府からの補助は年40万台湾元にとどまる。同記事は、樂活園地はさらに費用がかさみ、厨房・冷蔵庫・調理師の費用を含めて年間およそ「5、600百萬」(数字の表記は原文のまま)が必要だと書いている。この数字は食品銀行側の年間100万台湾元強という記述と桁の感覚が合わず、記事内の記述に不整合がある可能性がある。
食事1食あたりの価格について、同記事は協会のレストランが4品のおかずと汁物1品を1食20台湾元で提供していると書いている。
MOT TIMES(2021年6月)によれば、方荷生は自宅を担保に借入れを重ね、負債は1000万台湾元近くに達したという。同記事は、資金確保のために私企業への働きかけや年1回の募金餐会(Right Plus・2019年によれば、募金用の食事券を販売する形式)を続けていることも伝えている。
真似するなら最低何が必要か
1. 空き家を貸してくれる所有者と、粘り強い交渉者。 Right Plus(2019年)によれば、方荷生は議員や立法委員の協力を得て国防部の同意を取り付け、地方検察署の社会奉仕プログラムを通じて片づけの人手を確保した。契約は半年ごとの更新制だったという。
2. 汚れ仕事を厭わない住民の手。 同記事によれば、官舎は電線や水道管まで抜き取られ、ごみが積まれた状態だったため、住民らがレンガひとつ、ごみひとつから片づけた。
3. 厨房設備への投資と、継続的な人件費の確保。 ETtoday(2017年)によれば、樂活園地の運営には厨房・冷蔵庫・調理師の費用がかかり、食品銀行側だけでも志願スタッフ50〜60人・常勤スタッフ7〜8人分の人件費が必要だという。
4. 複数の資金源を組み合わせること。 同記事によれば政府補助は年40万台湾元にとどまり、大型財団への企画書提出も行っている。Right Plus(2019年)によれば募金用の食事券販売も収入源の一つだという。MOT TIMES(2021年)によれば、それでも足りない分は自宅を担保にした借入れで補っているという。
5. 食と学びを同じ屋根の下に置くこと。 ETtoday(2017年)によれば、協会は放課後に子どもたちが宿題をする教室を先生付きで無料提供しており、当時は10数人の小学生が参加していたという。Right Plus(2019年)によれば、方荷生は台北市立図書館と交渉し、団地内に貸出・返却ができる図書室も開設した。
6. 弱い立場の若者に役割を与える場。 MOT TIMES(2021年)によれば、2016年に開いた続食レストラン「書屋花甲」は、飛行少年(Right Plus・2019年の注記によれば、少年事件処理法上、犯罪歴や虞犯のある12歳以上18歳未満の少年を指す用語)にバリスタ資格の取得を指導する場にもなっているという。
今どうなっているか
2023年4月18日時点で確認できた最新の記録は、天下雜誌の取材である。 同誌によれば、午後1時半の南機場樂活園地の門前には毎日150人を超える列ができ、来場者は悠遊卡(交通系ICカード)で無料のパンを受け取っていた。方荷生は取材時点で里長になって25年目であり、社區關懷據點・食品銀行・樂活園地を通じて高齢者の共食と500個超の弁当配布、子ども・青少年向けの補習教室や図書コーナー、続食レストラン「書屋花甲」を運営していると同誌は書いている。
同じ2023年の記事は、隣接する小学校を舞台にした新しい展開も伝えている。 忠義國小は児童数の減少と老朽化を理由に廃校が検討されたが、地域の反対を受け、台北市は学校・地下鉄駅(萬大線)・社会福祉施設を1つの敷地に統合する「忠義教育社福園區」(EOD)として整備する方針に転じた。社会福祉施設には託児センター・高齢者日照センター・障害者日間ケア施設・青少年センターなどが計画されており、天下雜誌の取材時点で福祉棟は3階まで建ち上がり、年内の完工が見込まれていた。台湾大学の黄麗玲・副教授は、この計画が地域内部の発案と協働から生まれた点を評価していると同誌は伝えている。
2023年より後を埋める出典は、参照した4本の中にはない。
出典
- 300戶人家每月500點!南機場食物銀行「做功德」服務全台北 — ETtoday新聞雲(2017-12-10)
- 林立青專欄/方荷生最強里長之路(上):老少幼共餐共讀,硬拗來的社區圖書室每月借閱量高達 5000 冊 — Right Plus 多多益善(2019-11-10)
- 支持弱勢青年培力,首間強調華文創作的書店!地表最強里長方荷生啟動台大「書屋花甲X而立書店」募資計畫 — MOT TIMES 明日誌(2021-06-30)
- 弱勢租戶超過半數 南機場最強里長:需要都更,但不是趕走窮人 — 天下雜誌(2023-04-18)
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