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使われなくなった戦前の公設市場を、市が古蹟指定して改修し、建設会社が公募で運営権を得て、系列の財団がひらいた

新富町文化市場

台湾 / 台北市 / 台北市萬華区

使われなくなった戦前の公設市場を、市が古蹟指定して改修し、建設会社が公募で運営権を得て、系列の財団がひらいた
© 遠見雜誌 — この写真が載っている記事

2017年3月の運営開始から、2022年に賃料負担と契約満了(2024年)への言及、2024年に周辺市場との共催行事、2026年に運営10年の企画展が出典で確認できる。

何をしたか

台北市萬華区にある1935年建造の公設市場「新富町食料品小賣市場」は、1970年代以降の衰退で倉庫やバイクの置き場になっていた。台北市場処が2006年に市定古蹟に指定し、2014年に運営を公募した。忠泰建設が落札し、3年の改修を経て2017年3月、忠泰集團傘下の忠泰建築文化藝術基金會が「新富町文化市場U-mkt」として運営を始めた。可逆的な工法で内装を新設し、かつての精肉店の屋台などを保存しながら、展覧会や食育イベントの場としてひらいた。

誰が始めたか

建物を所有するのは台北市場処(台北市政府)で、2006年に市定古蹟に指定した。その後の改修の実務を誰が担い、誰が9年の運営権を得たかは、出典によって書き方が異なる(詳細は discrepancies)。最も具体的な経緯を書いているのは2022年の遠見雑誌で、2014年の公募で忠泰建設が落札し、3年をかけて改修したのち、2017年3月、忠泰集團傘下の非営利財団「忠泰建築文化藝術基金會(JUT Foundation for Arts and Architecture)」が運営に入ったとしている(改修主体の忠泰建設と、運営主体の基金会は別法人)。一方、2017年のTaiwan Panorama誌は、台北市場処が改修したのち基金会に9年の運営権を与えたとする一文と、3年間の改修作業自体を基金会が行ったとする一文の両方を同じ記事内に含んでおり、記事内でも表現が割れている。なお、基金会がいつから関わり始めたかについても、出典によって書き方が異なる(詳細は discrepancies)。

2017年の台湾光華雑誌の取材に対し、基金会CEOのアーロン・リー(Aaron Lee)氏は、市場を人と人との情報交換の場にし、その価値を萬華地区全体に広げていきたいという趣旨を語っている。現場を率いるのは基金会総監の洪宜玲(Hong Yiling)氏で、2022年の遠見雑誌の取材では、隣接する新富市場(別の現役市場)との信頼関係づくりに時間をかけたことや、市場で働くことへの誇りを取り戻す狙いで芸術家に展覧会を開かせたことを語っている。基金会は2010年から「都市果核計畫Project UrbanCore」として、2010〜2012年は城中藝術街區、2011〜2014年は中山創意基地URS21を手がけたのち、新富町文化市場に移った、と同誌は書いている。

いくらかかったか

改修費や運営権の対価そのものは、今回集めた出典に金額として出てこない。分かるのは契約の形だけで、2022年の遠見雑誌は忠泰建設が2014年に公募で運営権を落札したと書く一方、2017年の台湾光華雑誌は、9年間の運営権を得たのは基金会(JUT Foundation)だとしている(詳細はdiscrepancies)。2022年の遠見雑誌によれば、この契約は2024年に満了する予定だった。同じ記事で基金会総監の洪宜玲氏は、市場処に払う賃料が基金会にとって重い負担になっており、市側と減額を相談したいという趣旨を語っている。funding_scale は出典から判定できないため unknown_fields に挙げる。

真似するなら最低何が必要か

1. 改修は可逆的な工法に留める。 2017年の台湾光華雑誌によれば、改修を担った建築家(Michael Lin)は、古蹟本体を傷めないよう取り外し可能な木製構造と半透明パネルを使い、新しい床や間仕切りを元の床・壁面から離して設置した。
2. 隣接する既存の市場との関係を先に研究する。 2022年の遠見雑誌によれば、基金会は2017年から、隣接する現役の市場「新富市場」(100を超える攤商がある)とどう共存共栄するかを研究し、信頼関係を築くために無数のやり取りを重ねた。
3. 記録がほとんど残っていない場合は聞き取りから始める。 2017年の台湾光華雑誌によれば、基金会チームは運営を始めた当初、市場についての記録がほとんど無いことに気づき、地元の住民・商人・文化関係者への取材から歴史を掘り起こした。
4. 働き手の誇りを、外部の目を借りて可視化する。 2022年の遠見雑誌によれば、市場の攤商の多くが自分の仕事を辛いと感じ、子に継がせたくないと思っていたため、基金会は芸術家に展覧会を開かせ、市場で働くことの価値を別の角度から見せた。引退を考えていた製氷業を営む攤商の一人は、その作業を題材にした策展をきっかけに、引退すると言わなくなったと同誌は書いている。
5. 子育て世代を呼び込む定期プログラムを設計する。 同誌によれば、清明節に合わせた潤餅づくり体験など、親子で攤商と関わる食育イベントを開いている。
6. 賃料や契約年限という運営側の負担を織り込む。 2022年時点で基金会総監は、市場処への賃料が重く、減額を相談したいと語っていた(同誌)。運営を長く続けるには、こうした現実の制約に向き合い続ける必要がある。

今どうなっているか

2026年8月時点で確認できた最新の記録は、聯合報系の文化メディア「500輯」の8月18日付の記事である。忠泰建築文化藝術基金會は新富町文化市場の運営10年目を機に、「市場製造」と題した企画展を2026年8月14日から2会場で開いている。会期は新富町文化市場側の展示が11月15日まで、NOKE忠泰樂生活側の展示が9月28日までと、会場によって異なる。同紙は、この10年間、新富町文化市場が隣接する東三水街市場・新富市場と共栄してきたと書いている。

2024年11月22日のMOT TIMESの記事は、基金会が隣接する東三水街市場・新富市場、地域の店舗「萬華世界下午酒場」と共催で、翌週末に「招財大賺吉の祭」を開くと報じ、総監の洪宜玲氏が魚屋作家とのライブ配信のポッドキャストに出演する予定だとしている(記事は開催前の告知で、実際に開催されたかどうかは今回の出典では確認できていない)。

2022年の遠見雑誌は、市場処との運営契約が2024年に満了する予定だと報じ、基金会総監が次の契約があるかは分からないと語ったと書いている。2024年・2026年の出典では運営が続いていることが確認できるが、契約がどのように更新・延長されたのかは、今回の出典では確認できていない。

否定的な報道は、今回探した範囲では見つからなかった。ただし2022年の記事にある賃料負担の重さという運営上の課題が、その後どう扱われたのかも確認できていない。

出典

  1. Taipei's U-Mkt: A traditional Market Reborn - Taiwan Panorama — Taiwan Panorama(台灣光華雜誌)(2017-07-01)
  2. 萬華新富町文化市場,展演菜市人生 | 遠見雜誌 — 遠見雜誌(2022-03-28)
  3. 萬華市場文化祭典活動雙週末登場!扛招財貓轎子出巡、魚販作家LIVE Podcast等藝術行動不容錯過|MOT TIMES 明日誌 — MOT TIMES 明日誌(2024-11-22)
  4. 新富町文化市場十週年大展!《市場製造》以雙展區走進萬華文化新現場 | 文藝視角 | 500輯 — 500輯(聯合報系)(2026-08-18)

最終確認日 2026-08-31

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