南北738km超の国道を『ポルトガルのルート66』と名付け、紙とアプリのスタンプ帳で35自治体の周遊を促した
Passaporte EN2
2018年に紙のパスポートが発売され、2020年に学生開発のアプリが加わった。2021年5月時点でAMREN2は認証施設の拡大を報告しているが、それ以降の状況を確認できる出典は見つかっていない。
何をしたか
ポルトガルを南北に貫く国道2号線(エストラーダ・ナシオナル2、EN2)は、シャベスからファロまで738km超で35自治体・11県を通る。この道が通る自治体が集まった連合AMREN2は、道を「ポルトガルのルート66」と位置づけ、2018年に1€の紙のパスポート「Passaporte EN2」を発売し、旅行者が通過する自治体でスタンプを集める仕組みを作った。2020年には、AMREN2とは別にコインブラ大学の学生4人が、紙のパスポートの記入の煩雑さを補うため、QRコードで自動的にスタンプできるアプリ「EN2 – APP」を開発し、AMREN2と提携して公開した。
誰が始めたか
始めたのはAMREN2(Associação de Municípios da Rota da Estrada Nacional 2、国道2号線ルート自治体連合)である。 NiT(2018年9月11日)によれば、同連合は国道2号線が通る自治体が集まって2016年11月に発足し、サンタ・マルタ・デ・ペナギアン町が主導した。連合はSNSアカウントの開設や広報活動を重ね、2018年に紙のパスポート「Passaporte EN2」を1€で発売した。同紙によれば、参加自治体の観光案内所や役場の窓口、またはメールでの申請で入手でき、メール申請の場合は当時無料だったが、サン・ブラス・デ・アルポルテル町など一部の自治体では実際に1€が徴収されていたという。
アプリの開発は、連合とは別の主体が担った。 Jornal de Leiria(2020年1月14日)によれば、コインブラ大学理工学部の情報工学専攻の学生4人(João Paiva、Tiago Ribeiro、Jason Wrisez、João Calhau)が、紙のパスポートの記入の煩雑さという課題に着目し、AMREN2と提携してQRコードで自動的にスタンプできるアプリ「EN2 – APP」を開発した。同紙によれば、アプリは2020年1月10日に公開され、当初はAndroid版のみでiOS版は今後の対応とされていた。
運営を続けているのもAMREN2である。 New in Oeiras(NiT、2021年5月14日)によれば、2021年時点の会長はLuís Machado氏で、同氏は2021年をルートにとって存在感を高める年と位置づける趣旨を同紙に語っている。同紙は、この時点でAMREN2が定期的に新しい広報施策を打ち出してきたと伝えている。
いくらかかったか
確認できるのは、紙のパスポート単体の価格だけである。 NiT(2018年9月11日)によれば、「Passaporte EN2」は公式には1€で販売されたが、連合にメールで申請すると当時は無料だったという。サン・ブラス・デ・アルポルテル町など一部の自治体では実際に1€が徴収されていたと同紙は伝えている。
AMREN2の運営費や、学生が開発したアプリの開発費については、参照した3本のどこにも書かれていない。 NiT(2018年9月11日)は、この取り組みが国やEUの資金支援の対象になりうると政府が示唆したと伝えているが、これは実現前の見込みとして書かれており、具体的な金額や交付の有無を確認できる続報は見つかっていない。
真似するなら最低何が必要か
1. 既存の道路を、海外の知名度あるルートになぞらえてブランド化すること。 NiT(2018年9月11日)によれば、AMREN2はエストラーダ・ナシオナル2を、アメリカのルート66やアルゼンチンのルータ40になぞらえ、「ポルトガルのルート66」という愛称を軸に据えた。ガイドブックの刊行やSNSアカウントの整備を重ね、国際的な知名度を持つ観光ルートに育てることを目指したという。
2. 記念品と引き換えに、通過自治体を実際に周遊させる仕組みを作ること。 同紙によれば、「Passaporte EN2」は旅行者が通過する自治体やその中の主要な立ち寄り先でスタンプを集める形式で、参加自治体の観光案内所・役場の窓口やメール申請で入手できた。
3. 紙の仕組みの弱点を、外部の担い手がデジタルで補うこと。 Jornal de Leiria(2020年1月14日)によれば、コインブラ大学の学生4人は、紙のパスポートの記入が煩雑だという課題を見つけ、AMREN2と提携してQRコードで自動的にスタンプできるアプリを独自に開発した。このアプリはAMREN2自身が発注したものではなく、外部の学生が課題に気づいて提案し、連合と提携する形で実現した点が特徴である。
4. 既存の認証制度に乗せて、推奨先の情報を束ねること。 New in Oeiras(NiT、2021年5月14日)によれば、2021年時点でAMREN2は「Clean & Safe」の衛生認証を得た施設約1500件を把握しており、あわせて650件のパートナーを今後しかるべく推奨し助言していくとされていた。認証自体は国の制度であり、AMREN2はそれを自らのネットワークに組み込んでいる。
5. 通年で広報の手を止めないこと。 同紙によれば、AMREN2は定期的に新しい広報施策を打ち出しており、2021年5月の時点でもブランドイメージを固める新しい施策群を準備していたという。
今どうなっているか
確認できた最新の記録は、New in Oeiras(NiT、2021年5月14日)である。 同紙によれば、2021年5月時点でAMREN2会長Luís Machado氏は、2021年をルートにとって存在感を高める年にするという趣旨を語り、年内に全ルートへの標識設置を予定していると述べた。同紙はまた、エストラーダ・ナシオナル2が米国のテレビ番組で紹介されたほか、海外の複数の媒体でも取り上げられたと伝えている。
新型コロナウイルスの流行下でも、道路を巡る旅は続いたという。 同紙は、感染拡大が広がる中でもロードトリップやキャンピングカーでの旅、家族旅行がむしろ勢いを増したように見えたと書き、AMREN2もそう見ていると伝えている。
2021年5月より後の状況を確認できる出典は、参照した3本の中には無い。 アプリの利用者数がその後どう推移したか、紙のパスポートとデジタル版の利用比率、2021年に予定されていた標識設置が実際に完了したかは、いずれも確認できていない。
否定的な報道は見つからなかった。 事業の縮小や中断を報じる記事を探したが、参照できたのは開始・展開を伝える記事のみで、批判的な報道自体が確認できなかったため、反論の有無も確認できていない。
出典
- A Route 66 portuguesa já tem um passaporte — e só custa 1€ — NiT(2018-09-11)
- Criada app de apoio turístico à rota da Estrada Nacional 2 — Jornal de Leiria(2020-01-14)
- A Route 66 portuguesa já faz 76 anos — e continua a ser o melhor roteiro do País — New in Oeiras (NiT)(2021-05-14)
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