教会や旧酒蔵や廃校に書店を入れ、村ぜんぶを文学の場として売り出した
Vila Literária
この記録の出典は単一の媒体によるものです。
2011年に町と出版社の協働として始まり、2015年12月にユネスコの創造都市(文学)に認定された。2020年7月には来訪が年200万人から1日870人に落ちた状態が報じられ、2023年5月に発案者の一人が死去した。
何をしたか
ポルトガル中部の城壁の町オビドスで、教会・有機市場・旧酒蔵・使われなくなった小学校といった建物に書店を入れ、町ぜんぶを文学の場として売り出した。
ディアリオ・デ・ノティシアスの2015年の記事によれば、事業は2011年から町と出版社 Ler Devagar のジョゼ・ピニョの協働として進められ、「ありそうにない場所」に10軒ほどの書店ができた。町の博物館2館とギャラリー、インテリアデザインセンターにも書店が置かれている。
2015年12月11日、ユネスコの創造都市ネットワークに文学の分野で認定された。町長は、歴史地区に書店網があることが申請の柱だったと述べている。
誰が始めたか
始まりの経緯は、2023年5月30日の訃報にいちばん詳しく書かれている。 ディアリオ・デ・ノティシアスによれば、ジョゼ・ピニョは1953年にヴィゼウ県サン・ペドロ・ド・スル郡の村に生まれ、近代言語・文学を修めて広告の仕事から始めた。1989年から1995年まで文芸誌 Devagar の編集にあたり、1999年にリスボンのバイロ・アルトに書店 Ler Devagar を開いている(同店は2005年に閉じ、2007年に Fábrica Braço de Prata、その1年後に LX Factory へ移った)。
町の側から持ちかけられている。 同紙は、その7年後、オビドスの町に散らばる、廃墟となり打ち捨てられていた建物に文化の場をいくつも作らないかと持ちかけられ、ピニョがウェールズで見た着想をもとに、打ち捨てられた場所に11軒の書店を開いた、と書いている。サンティアゴ書店、有機市場の書店、酒蔵の書店などがそれにあたる。これがのちに「文学の村」と呼ばれる事業になった、というのが同紙の書き方である。
祭りは、書店の次に足された。 同紙は、ピニョが自身の経験から、そしてブラジルのパラチ国際文学祭に着想を得て、書店を開くことと文学祭を開くことを結びつけることを提案し、そこから Folio と Latitudes が生まれたと書いている。2015年12月11日の記事は、この事業を2011年から町とジョゼ・ピニョの協働として進められたものと書いており、町側の顔は町長の Humberto Marques である。
書店の数は、出典によって違う。 2015年12月11日の記事は「ありそうにない場所」に10軒ほど、そのほかに町の博物館2館(Municipal と Abílio)・NovaOgiva ギャラリー・室内デザインセンター(CDI)にも置かれたとし、これらは町と共同で運営されたと書いている。2017年4月28日の記事は「町の14の書店」と書き、同年10月26日の記事はピニョが9軒を開いたと書き、2023年の訃報は11軒と書いている。数える範囲がどう違うのかは、どの記事にも書かれていない。
いくらかかったか
事業の費用は、参照した5本のどこにも書かれていない。 5本を通しで読み、euro・€・orçamento・custo・investimento・financ・apoio・verba で検索したが、この事業に充てられた額は出てこない。建物の改修を誰が払ったかも書かれていない。funding_scale は unknown_fields に挙げてある。
分かるのは、お金の話が2度だけ出てくることである。 1つは2017年4月28日の記事で、町の文化担当議員 Celeste Afonso が、旅の文学の祭 Latitudes の第0回は予算ゼロと、関わったすべての相手の大きな協力によって開かれると述べている。同記事によれば、この祭はユネスコの認定を受けた Óbidos Vila Literária の企画の一部として、毎年行われることが見込まれていた。
もう1つは2017年10月26日の記事である。同記事は、この年 Folio が予算の面で後退を被ったと書いたうえで、ピニョにやめる意思は無いとし、次の Folio と2回目の Latitudes を、さらに2018年には詩に充てるもう1つの祭を考えていると伝えている。同記事で同氏は、本の商いは大きな商いではないが、儲からなくても別の目的には役立ちうると述べている。
町の経済に占める観光の重さだけは数字がある。 2020年7月5日の記事は、Pordata の入手できる最新の数値(2018年)で、観光がオビドス郡の GDP の18%を占めていたと書いている。
真似するなら最低何が必要か
1. 使える建物が、すでに使われなくなっていること。 2015年12月11日の記事が挙げるのは、教会・有機市場・旧酒蔵・使われなくなった小学校である。2023年の訃報は、それらを廃墟となり打ち捨てられていた建物と書いている。新しく建てた場所ではなく、空いていた場所に本を入れている
2. 町の外の人に持ちかけること。 同じ訃報によれば、ピニョは町の人ではなくリスボンで書店を営んでいた人物で、町の側から文化の場を作らないかと持ちかけられた。しかも着想は自分のものではなく、ウェールズで見たものだった。外から来た人が、よそで見た形を持ち込んでいる
3. 書店だけで終わらせず、人が集まる日を作ること。 訃報によれば、パラチの文学祭に着想を得て、書店を開くことと文学祭を開くことを結びつける提案が出た。2015年10月15日から25日の Folio には著者数百人が動き、およそ3万人が集まったと2015年12月11日の記事は書いている
4. 最初の1回は、予算ゼロでも立ちうる。 Latitudes の第0回がそうだったと2017年4月28日の記事にある。ただし同じ形が続くとは限らない——同年10月26日の記事は Folio がその年に予算の後退を被ったと書いている。始めるための条件と、続けるための条件は別である
5. 認定は柱ではなく結果として扱う。 2015年12月11日の記事で町長 Humberto Marques は、文学に軸を置いた革新と創造の戦略があること、そして歴史地区に書店の網があることが申請の支えの1つだったと述べている。先に書店の網があり、後から申請している。 同記事によれば、Folio の集客は、既に提出されていた申請には重みを持たないとされた。同氏は、認定は責任を増やし、この戦略を保つことに一層取り組むことになるとも述べている
6. 担い手を個人から組織へ移す道筋を持っておく。 2015年の記事は、この事業を町と個人の協働として書いていた。2020年7月5日の記事で町長は、新しい観光の形を組み立て直す担い手として Sociedade Vila Literária を挙げている。そして2023年5月に発案者の一人が死去した。個人の名前で始まった事業が、その人がいなくなった後にどう続くかは、出典からは分からない
今どうなっているか
2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2023年5月30日の訃報である。書店網と文学祭がその後どうなったかを書いた出典は無い。
直前にあるのは、2020年の落ち込みの記録である。 2020年7月5日の記事によれば、前年のオビドスの町の来訪は年200万人、1日平均4,000人とされていたが、感染症の流行のもとでは町の中に同時にいられるのは870人になった。町長 Humberto Marques は、町を1つの建物のように扱ったと述べ、入退場を自動で数える機器を備えたこと、使い捨てのマスクを買える機械・手指の消毒の設備・足を消毒するマットを置いたこと、場所によっては希望する人が検温できるようにしたことを挙げている。同記事によれば、町は非常事態宣言の前に緊急計画を発動し、以後15日ごとに警戒の宣言を更新していた。地元の事業者600人超と会合を持ち、オビドスを訪れて買い物をする人に1,000枚のクーポン(30ユーロの買い物に15ユーロ)を配ることを決め、3泊して2泊分を払う「Fique em Óbidos」も始めたとされる。同氏は、この時期に組み立て直しを担う相手として Sociedade Vila Literária を挙げている。
2023年5月30日、書店網の発案者の一人が死去した。 訃報によれば、ピニョはリスボンの病院で69歳で亡くなった。オビドス町は追悼の文書で、同氏を Óbidos Vila Literária の創設者の一人とし、歴史ある町に書店の網をつくることに賭けた人だとしている。この時点で事業が動いていたかどうかを、この記事は直接には書いていない。
出典
- Óbidos e Idanha-a-Nova classificadas cidades criativas pela UNESCO — Diário de Notícias(2015-12-11)
- Festival literário Latitudes abre em Óbidos com viagens pela música e gastronomia — Diário de Notícias(2017-04-28)
- Aprender a rebeldia com os livros em Óbidos — Diário de Notícias(2017-10-26)
- Óbidos. Dos 2 milhões de turistas por ano aos 870 por dia, como se ergue a vila dentro da muralha — Diário de Notícias(2020-07-05)
- José Pinho morre aos 69 anos. Um percurso dedicado ao livro e a democratizar acesso à cultura — Diário de Notícias(2023-05-30)
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