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密猟で減った砂漠の野生動物を、ロッジとの共同所有権と宿泊税で守る仕組みに変えた

Torra Conservancy

ナミビア / クネネ州 / ダマラランド地方(クネネ州南部)

2015年に旅行業界誌が取り上げ、2024年には保護区研究を紹介するMongabay記事で写真とともに取り上げられるなど、開始から3年以上あとの記事が26年にわたり複数回続いている。

何をしたか

密猟と干ばつで野生動物が激減したナミビア北西部ダマラランド地方で、住民組織が観光会社との共同事業を通じて収益を地域に還元する仕組みを作った。ICT(2012年2月16日)によれば、1995年に住民組織が投資家との交渉窓口として結成され、南部アフリカの観光会社Wilderness Safarisを選定してロッジ「ダマラランド・キャンプ」を開いた。契約は土地使用料に加え、販売した宿泊1泊ごとの正味日額の10%を支払う内容だった。この地域は1998年、環境観光省への登録によりTorra Conservancyとなった。

誰が始めたか

ICT(2012年2月16日)によれば、この地域はダマラランド地方と呼ばれる南部アフリカの乾燥地帯にあり、住民の多くは1973年に南アフリカの当時のアパルトヘイト政権によって強制移住させられたリームフォスマーク(Riemvasmaak)出身者だという。同記事によれば、1980年代初頭の干ばつと密猟で野生動物が激減したことを受け、地元の非政府組織(団体名は記事中に明示されていない)が状況を調査し、豪華ロッジで観光客を呼び込めば地域の助けになると結論づけた。1995年、投資家との交渉のために住民組織が結成され、全世帯を個別に訪問して計画への同意を集めたとICTは伝えている。

同記事によれば、この住民組織はWilderness Safarisを開発パートナーに選んだ。これはナミビアで住民組織と民間観光会社の間で結ばれた最初の合弁契約だったという。契約は、Wilderness Safarisが土地使用料に加え、販売した宿泊1泊ごとの正味日額の10%を支払う内容で、地元住民の雇用と管理職への昇進訓練、洗濯業務の地元委託も定めていたとICTは伝えている。

発足以来の議長を務めるBennie Roman氏について、ICTは「野生動物は倍以上に増えた」(原文:wildlife has more than doubled)という発言を伝えている。同氏は密猟監視員を住民自身が担うようになって以降の変化として、この発言をしたという。

いくらかかったか

ICT(2012年2月16日)によれば、契約はWilderness Safaris Namibiaが土地使用料に加え、販売した宿泊1泊ごとの正味日額の10%をconservancyに支払う内容だった。同記事によれば、ダマラランド・キャンプは約32人を雇用しており、うち26人ほどが地元コミュニティ出身だという。Torra Conservancyはこれとは別に、管理・密猟監視の職員として9人分の雇用も生み出しているとICTは伝えている。

同記事によれば、Torra Conservancyは環境観光省からトロフィー種の狩猟割当も得ており、1999年に専門猟師と契約した。例えばヒョウやチーターの狩猟許可には1件3,500ドルがかかるという。狩猟による収益は小規模ながら、観光収入を補う別の収入源になっているとICTは伝えている。

開発・改修にかかった総投資額は、参照した3本の出典のどこにも書かれていない。 分かるのは、収益がロッジの土地使用料と宿泊1泊ごとの歩合、トロフィーハンティングの許可料という複数の流れに分かれていることである。

真似するなら最低何が必要か

この事例から取り出せるのは、投資家との交渉から所有権の移転までを制度化した積み重ねである。

1. 交渉の窓口になる住民組織を先につくること。 ICT(2012年2月16日)によれば、1995年に住民組織が結成され、全世帯を個別に訪問して計画への同意を集めたことが、その後の投資家選定と契約交渉の土台になった。

2. 収益の配分を具体的な数字で契約に書き込むこと。 同記事によれば、契約は土地使用料に加え、販売した宿泊1泊ごとの正味日額の10%をconservancyに支払うと明記していた。歩合の基準が明確なため、宿泊客数が増えれば収入も自動的に増える仕組みになっている。

3. 所有権を段階的に地域へ移す仕組みを組み込むこと。 同記事によれば、Torra Conservancyはダマラランド・ロッジの40%を保有し、Wilderness Safarisが残り60%を保有している。今後20年でconservancyの保有分は100%まで増える計画で、Wilderness Safarisは最初の40%を無償で譲渡し、残りの譲渡でも対価を受け取らないという。

4. 雇用の枠を世帯単位で保証すること。 同記事によれば、ロッジでの雇用機会は各世帯から1人ずつに行き渡るようTorra Conservancyが調整しているという。

5. 監視や管理の実務を住民自身が担うこと。 同記事によれば、Torra Conservancyは自前の密猟監視員を持つようになった(議長のBennie Roman氏の発言は「誰が始めたか」節に記載)。

6. 収入源を観光以外にも分散すること。 同記事によれば、Torra Conservancyはトロフィーハンティングの割当も得て専門猟師と契約しており、観光収入以外の収益源も確保している。

今どうなっているか

2024年12月時点、Mongabay(2024年12月13日)は、フランス農業国際協力研究センター(CIRAD)のCamille Jahel氏とスタンフォード大学のEric Lambin氏がSustainability Science誌に発表した、アフリカ13カ国17件の環境再生事業を対象にした研究を紹介する記事の中で、ナミビアで最も古い保護区の一つとしてTorra Conservancy(1998年登録・3,522平方キロメートル・住民約1,200人)を写真とともに取り上げている。ただし、この研究・記事の分析対象として名指しされているのはナミビアのザンベジ州の保護区群(スイス・アグロスコープの研究員Maximilian Meyer氏の博士研究)であり、Torra Conservancy自体がJahel・Lambinの17件の分析対象に含まれていたかは、この記事からは確認できない。同記事によれば、2022年時点でナミビアには86の保護区があり、その78%が構成員向けの収入を生んでいるという。Meyer氏は、この制度の意義について「土地を取り戻す手段であり、それはとても重要だ」(原文:a way of getting land back, which is super important)と述べたと同記事は伝えている。

これに先立つ2015年8月時点、Southern & East African Tourism Update(2015年8月14日)は、「Torra Conservancyはアフリカで最も成功した保護区の一つだ」(原文:the Torra Conservancy is one of the most successful in all of Africa)と伝え、外部の資金援助なしに自立できる最初の地域保護区だとしている。

面積の記載は出典間で食い違う。 ICT(2012年2月16日)は3,520平方キロメートルと書き、Mongabay(2024年12月13日)は3,522平方キロメートル(1,360平方マイル)と書いている。1995年の交渉開始、1998年の正式登録から26年以上にわたり、複数の独立した媒体が別々の年にTorra Conservancyを取り上げ続けている。

出典

  1. Ecotourism and Career Training Ease Poverty for Southern African Tribes — ICT(Indian Country Today)(2012-02-16)
  2. Namibia's top six conservancies — Southern & East African Tourism Update(2015-08-14)
  3. Study looks for success factors in African projects that heal land and help people — Mongabay(2024-12-13)

最終確認日 2026-09-03

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