月に一度、資源ごみを持ち込むと点数がつき、近郊の農産物と交換できる市を開いた
Mercado de Trueque
2012年の第4回では最初の3回で延べ2万5,000人が参加した。2025年3月の記事は2024年の来場が4,917人だったと書き、2025年5月には衣類の受け入れが始まり、2026年8月にも開催が告知されている。
何をしたか
メキシコシティで、市の環境局が月に一度だけ開く市をつくり、住民が持ち込んだ資源ごみを計って点数にし、その点数で近郊の農産物と交換できるようにした。
エル・ウニベルサルの2012年の記事によれば、会場はチャプルテペック森林公園の第1区画で、毎月第1日曜に開かれていた。この回から市南部だけでなくモレロス州の生産者も加わり、桃・そら豆・かぼちゃ・アボカド・じゃがいも・すももを1.5トン持ち込んで完売した。生産者の一人は「仲買が消えるので安く出せるし、人と知り合える」と述べている。
受け入れる品目はのちに広がり、2025年5月には衣類と繊維も加わった。
誰が始めたか
始めたのは市の環境局(Sedema)である。 エル・ウニベルサル(2012年6月4日)は、これを資源ごみを有機農産物と交換するための連邦区政府の取り組みと書き、当時の環境局長 Martha Delgado が推進した事業だと、市南部とモレロス州の生産者の代表を務める協同組合の関係者の発言として伝えている。同じ発言の中で、この関係者はこの事業を成功だと述べている。 2012年6月の時点で第4回であった。
売り手の側は、行政ではなく近郊の生産者だった。 同記事によれば、当初参加していたのはトラウアク・ソチミルコ・ミルパアルタの生産者で、そこにトラルパンが加わり、蜂蜜とうずらが品目に増えたと同じ関係者は述べている。この回で初めて別の州の生産者が加わり、モレロス州から来た10人のうち4人がトトラパン市の農家だった。 桃・そら豆・かぼちゃ・アボカド・じゃがいも・すももを1.5トン持ち込み、すべて売り切れた。同記事は、この農家が午前5時にトトラパンを出たと書いている。
生産者の名簿と、代金の支払い方も出典に書かれている。 エル・ウニベルサル(2025年3月30日)は、環境局が情報公開請求に答えた内容として、2012年から2020年までは、ソチミルコ・トラウアク・ミルパアルタ・トラルパン・マグダレナ・コントレラスの25〜40人の市内の生産者の名簿があり、協同組合を通じて商品の代金が直接支払われていたと伝えている。
この事業がどういう目的で設計されたものかは、2026年の記事に環境局の説明として載っている。 エル・ウニベルサル(2026年8月2日)は、環境局によればこれは家庭の固形ごみを出どころで分別することを促し、生物多様性の保全のための再生を進め、気候変動の影響を和らげるために設計された環境教育の事業だと書いている。
いくらかかったか
事業の予算額は、参照した5本のどこにも書かれていない。 環境局の予算も、1回あたりの開催費も、参加した生産者に支払われた総額も出てこない。書けるのは、お金と物がどの経路を通っているかである。
- 生産者への支払いは協同組合を経由していた。 エル・ウニベルサル(2025年3月30日)は、2012年から2020年まで、生産者には商品の代金が協同組合を通じて直接支払われ、その協同組合が各回に運ぶ品物をまとめていたと環境局の回答として書いている
- 交換に出す農産物の出どころは、途中で入れ替わっている。 同記事は、新型コロナウイルスの流行と外出の制限の後、生産者の参加が無くなったとし、2025年3月9日の回では環境教育センターで生産され、中央卸売市場(Central de Abasto)から寄贈された玉ねぎ・唐辛子・ノパル・パクチーなどの野菜、それに植物と堆肥が交換されたと書いている
- 2025年5月には、局が自前で作る植物も加わった。 エル・ウニベルサル(2025年5月17日)で環境局長 Julia Álvarez Icaza は、局の苗圃で生産した多肉植物をこの日から加え、一時期は交換されなくなっていた保全地の作物・野菜も再び戻したと述べている
- 住民の側の得は、2012年に金額で語られている。 エル・ウニベルサル(2012年6月4日)で生産者は、仲買はアボカドを10ペソで買うが、市場の売り手はそれを20ペソで売っていると述べ、仲買が消えることで安く出せて自分の取り分も増えると述べている
- 企業の関与が金額ではなく件数で出てくる。 エル・ウニベルサル(2025年5月17日)によれば、同じ日に併設されたリサイクラトロン(電子機器の回収)には15社が参加し、来場者に堆肥380キロが配られた
funding_scale は unknown_fields のままとした。5本のいずれにも金額の記述が無いためである。
真似するなら最低何が必要か
1. 持ち込みの上限と下限を決めること。 エル・ウニベルサル(2025年3月30日、2026年8月2日)はいずれも、1人あたり最少1キロ・最大5キロと書いている。2026年の記事によれば、持ち込まれた物はその場で職員が計量し、発生させたごみの量を自覚させるためにそうしていると説明されている。計量の結果は緑のポイントになり、農産物・野菜・地域の植物と交換される
2. 交換に出す農産物の供給元を、複数持っておくこと。 ここでは供給元が3回替わっている。近郊の生産者(2012〜2020、協同組合を通じて代金を支払う)→ 環境教育センターの野菜と中央卸売市場からの寄贈(コロナ後)→ そこに局の苗圃の多肉植物と保全地の作物が戻る(2025年5月)。エル・ウニベルサル(2025年3月30日)で UNAM 経済学部の研究者は、市内の農業地帯の生産者と市を結びつけるという当初の目的を、もう一度取り戻してほしいと述べている
3. 受け入れる品目の一覧を作り、更新して公開すること。 2026年8月2日の記事は、受け入れる物として HDPE・PET・PP のプラスチック、BOPP・低密度ポリエチレン・多層包装のフィルム、アルミ・ブリキ・段ボール・紙、電子電気機器・多層容器・ガラス瓶、使用済み食用油とコーヒーカプセルを挙げ、受け入れない物として電球・衣類・ボトルキャップ・大型ごみ・発泡スチロール・卵パック・玩具を挙げている
4. 開催の場所と曜日を、動かすのか固定するのかを決めること。 2012年はチャプルテペック森林公園の第1区画で毎月第1日曜だったが、2025年の記事は持ち回りで毎月第2日曜に場所を変えて開くと書いている。エル・ウニベルサル(2025年3月30日)は、来場者から次の会場が1時間半ほどかかる場所になるという声を伝え、ラ・サール大学の研究者は企業や市民団体を巻き込んで会場を増やし開催の頻度を上げることを、UNAM の研究者は同じ日に2〜3か所で同時に開くことを挙げている
5. 参加した人数と回収した量を、毎年数えて開示できるようにしておくこと。 エル・ウニベルサル(2025年3月30日)は、環境局の情報公開の回答として、2012年は22,781人の参加で173,456キロを回収したのに対し、2024年は4,917人・31,018キロだったと書いている。12年分の累計は別に開示されており、集めた紙によって705万1,040本を超える伐採を避け、1,349万3,000リットルを超える水を節約し、357万1,052立方メートルを超えるごみが最終処分場に運ばれずに済み、521万6,500リットルを超える水の汚染と22万3,152キロの二酸化炭素の排出を避けたとされる。累計は増え続けるが、年ごとの参加は減っている。両方を出すかどうかが分かれ目になる
6. 別の回収の仕組みと組み合わせられること。 2025年5月17日、リサイクルの日に合わせてこの市と電子機器の回収(Reciclatrón)が初めて同じ会場で開かれた。 エクセルシオール(2025年5月17日)によれば、その日の回収は電子・電気機器17トンと電池450キロ、市の側は再生資源3.3トンと繊維4トンで、合わせて25トンを超えた。 ただし来場者数は媒体によって書き方が違う(下記)
今どうなっているか
2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2026年8月2日のエル・ウニベルサルの告知記事である。
次の回の日時と場所まで具体的に出ている。 同記事によれば、環境局の地図と公式の募集にもとづく次の会場はイスタカルコ区のリオ・チュルブスコ大通り(ガブリエル・ラモス・ミジャン地区、郵便番号08000)で、2026年8月9日の日曜、8時から13時までである。記事は、参加者に対し、あらかじめごみを準備すること、交換した食べ物を持ち帰るために繰り返し使える袋を持参すること、変更がありうるので公式の各種の発信を確認することを呼びかけている。2026年8月9日は月の第2日曜にあたる。
衣類の扱いが出典間で食い違っている。 エル・ウニベルサル(2025年5月17日)は、この日から初めて衣類と繊維を受け入れ、状態のよい服を置いて別の服を持ち帰れる交換の区画も設けたと環境局長の説明として書いている。 ところが2026年8月2日の記事は、受け入れない物の一覧に衣類(ropa)を入れている。 どちらが現在の運用かは、参照した5本からは判断できない。
同じ日の同じ催しの人数も、媒体によって違う。 エクセルシオール(2025年5月17日)は「大学都市で行なわれたメガ回収デーに2,000人以上が参加した」と書き、エル・ウニベルサル(同日)は環境局の集計としてリサイクラトロンに1,131人、市の側に933人と書いている。足すと2,064人になるが、そのように書いている出典は無い。
参加が減っていることは、事業を続けている側の資料から出ている。 エル・ウニベルサル(2025年3月30日)は、2012年から2024年の間に参加が22,781人から4,917人へ、回収量が173,456キロから31,018キロへ減ったという環境局の開示を伝えている。同記事に出てくる3人の研究者はいずれも事業そのものは続けるべきだという立場で、UAM アスカポツァルコの研究者はこの市の目的は素材の回収というより教育であり、その意味では役割を果たしていると述べ、頻度と行ける場所の両方を広げる方法を探すべきだと述べている。
局の側は「新しい段階」という言い方をしている。 エル・ウニベルサル(2025年5月17日)で環境局長は、繊維の受け入れと交換の区画をこの市の新しい段階の刷新の一部として説明し、今後は複数の地点で同時に開く見込みだとし、これからも少しずつ知らせを出していくと述べている。 これは同氏の見通しであって、実施された事実としては確認できていない。
出典の性格について明記しておく。 5本のうち4本がエル・ウニベルサル、1本がエクセルシオールで、2媒体である。 さらに2025年5月17日の2本は同じ日の同じ催しを別の媒体が書いたもので、数字はいずれも環境局の発表に由来する。2012年の1本と2025年3月30日の1本を除けば、記述の出どころは実施主体である環境局にほぼ集まっている。 研究者の見方が入っているのは2025年3月30日の1本のみで、事業の費用対効果を第三者が検証した記録は、参照した範囲には無い。
出典
- Morelos se une al mercado de trueque — El Universal(2012-06-04)
- Mercado de Trueque: el reto es su expansión — El Universal(2025-03-30)
- CDMX recicla más de 25 toneladas en un solo día en Reciclatrón y Mercado de Trueque — Excélsior(2025-05-17)
- Día Mundial del Reciclaje: Mercado del Trueque ya recibe ropa — El Universal(2025-05-17)
- Mercado de Trueque en Iztacalco; ¿qué es, cómo funciona y dónde estará? — El Universal(2026-08-02)
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