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茶を運んだ植民地期の古道をつなぎ、22区間・約300kmの長距離徒歩道に仕立てた

Pekoe Trail

スリランカ / 中央州・ウバ州 / キャンディ県ハンタナ〜ヌワラエリヤ県ヌワラエリヤ間(ヌワラエリヤ県ハットン、ウバ州バドゥッラ県ハプタレー・エッラを経由する22区間)

茶を運んだ植民地期の古道をつなぎ、22区間・約300kmの長距離徒歩道に仕立てた
© TravelMole — この写真が載っている記事

開始から3年後にあたる2026年4月、旅行業界誌TravelMoleが年間を通じた観光体験としてPekoe Trailを紹介した。3年以上あとの出典はこの1本にとどまる。

何をしたか

スリランカ中央高地で、英領時代に茶を運ぶため使われてきた土道や鉄道跡をつなぎ合わせ、22区間・約300kmの長距離徒歩道「Pekoe Trail」に仕立てた。サステナブル観光コンサルタントのミゲル・クナート氏が10年以上かけて構想し、欧州連合(EU)と米国国際開発庁(USAID)が資金を拠出した(Daily FT、2025年8月28日)。2023年11月には英国旅行作家協会の国際観光賞を受賞し(同紙、2023年11月7日)、2024年にはナショナルジオグラフィックの「Best of the World」リストにも選ばれた(同紙、2024年2月1日)。

誰が始めたか

Pekoe Trailは、スリランカに長年暮らすサステナブル観光の第一人者、ミゲル・クナート氏が構想した。Daily FT(2025年8月28日)によれば、クナート氏は中央高地を10年以上かけて踏査・地図化し、国内初の長距離徒歩道を作り上げた。整備は欧州連合(EU)資金による3年間のプログラムが支え、米国国際開発庁(USAID)が追加支援した(同記事)。

沿線の中小事業者向けの取り組みも並行した。The Island(2023年11月7日)によれば、「The Pekoe Trail Business Incubator」はTourism Resilience Project(TRP、EU資金・USAID追加支援)の一部として実施され、実施主体は事業インキュベーション専門会社のGadfly Innovationだった。ハンタナ・ハットン・ハプタレー・エッラ・ヌワラエリヤで開かれた研修には112の観光関連中小事業者が関心を示し、うち60者がダラウェラ・クラブでの発表会に参加したという。この場には観光省・スリランカ観光開発局・地域プランテーション各社・USAIDの関係者も列席した。

2025年にクナート氏が退任した後、観光相ビジタ・ヘラス氏は閣議後の記者会見で、事業は個人に依存しないと述べた。「The Pekoe Trail will continue irrespective of personal resignations」(Pekoe Trailは個人の辞任にかかわらず続く)と語り、政府として継続を保証した(Daily FT、2025年8月28日。退任後にどの主体が実務を引き継いだかは同記事に明記されていない)。

いくらかかったか

整備費用の総額を明記した出典は、今回参照した名称一致出典(sources)の中には見当たらなかった。Daily FT(2025年8月28日)によれば、クナート氏の踏査・整備活動は欧州連合(EU)資金による3年間のプログラムで支えられ、米国国際開発庁(USAID)が追加支援した。この枠組みは「Tourism Resilience Project」と呼ばれ、The Island(2023年11月7日)によれば、沿線中小事業者向けの「The Pekoe Trail Business Incubator」もこの一部として実施された。

同記事によれば、このインキュベーターには112の観光関連中小事業者が関心を示し、うち60者がハンタナ・ハットン・ハプタレー・エッラ・ヌワラエリヤでの研修を経て、雇用創出や新商品・サービスへの投資計画をダラウェラ・クラブで発表した。研修は事業の強靭性、顧客体験、持続可能な事業運営、観光マーケティングなどを扱ったという。EUの投資総額やUSAIDの拠出額といった具体的な数字は、参照した出典には記載されていない。

真似するなら最低何が必要か

複数の出典を重ねると、いくつかの要素が浮かび上がる。

第一に、新しい道を作るのではなく、既にある古道をつなぎ直したことである。TIME(2025年3月13日)によれば、Pekoe Trailは英国が茶の輸出のために敷いた植民地期の土道や鉄道跡を数多くつないだものであり、地元の旅行会社は以前から区間ごとにトレッキングツアーを行っていたが、22区間すべてを1本のトレイルとして接続したのは初めてだったという。

第二に、沿線の小規模事業者を育てる仕組みを並走させたことである。The Island(2023年11月7日)によれば、「The Pekoe Trail Business Incubator」は112の中小事業者を対象に研修を行い、うち60者が具体的な事業計画を発表するところまで伴走した。トレイルという線的なインフラだけでなく、それで生計を立てる担い手を同時に育てる設計だったといえる。

第三に、国際的な賞やメディア掲載を通じて発信力を得たことである。2023年11月のBGTW国際観光賞受賞(Daily FT、2023年11月7日)、2024年のナショナルジオグラフィック「Best of the World」選出(同紙、2024年2月1日)、2025年のTIME「World's Greatest Places」選出(TIME、2025年3月13日)と、開通直後から複数の国際媒体に取り上げられ続けたことが、その後の観光需要につながったとみられる。

第四に、運営を創設者個人に依存させない体制を用意していたことである。2025年にクナート氏が退任した際、観光相ビジタ・ヘラス氏は事業が個人に依存しないと明言し、政府として継続を保証した(Daily FT、2025年8月28日)。創設者が去っても、政府が継続を約束する形で仕組みが止まらなかった点は、真似する側にとって参考になる。

第五に、気候災害からの復旧を運営者自身が発信したことである。Mongabay(2025年12月24日)によれば、2025年11月末のサイクロン・ディトワによる土砂崩れで一部区間が閉鎖された際、運営者のプラムディス・テナバドゥ氏は「Some parts are open, and we are hopeful the trail can be restored soon」(一部は開いており、間もなく復旧することを期待している)と述べ、沿線の地域コミュニティも観光地が被災すれば苦境に立たされると付け加えた。

今どうなっているか

2026年4月時点で、旅行業界誌TravelMoleはPekoe Trailを、5月から11月の閑散期にも楽しめる新しい観光体験として紹介している(TravelMole、2026年4月23日)。同記事によれば、女性ガイドを含む地元ガイドが同行し、茶園や村、高原地帯を巡ることができるという。

一方、2025年11月末からのサイクロン・ディトワによる土砂崩れで一部区間は閉鎖された。Mongabay(2025年12月24日)によれば、運営者のプラムディス・テナバドゥ氏は一部区間が開いており復旧を期待していると述べ、沿線で観光客を相手にする地域コミュニティも、これらの観光資源が被災すれば影響を受けると語った。

創設者クナート氏の退任後も、観光相ビジタ・ヘラス氏は2025年8月時点で事業継続を政府として保証しており(Daily FT、2025年8月28日)、2026年時点でトレイル自体の運営は続いている。ただし、全22区間が常時すべて安全に通行できる状態にあるかどうかまでは、参照した出典からは確認できなかった。

出典

  1. SL's Pekoe Trail wins big at British Guild of Travel Writers International Tourism Awards — Daily FT(2023-11-07)
  2. Sri Lanka's first long-distance trail empowers 60 micro, small, and medium enterprises to seize emerging business prospects — The Island(2023-11-07)
  3. The Pekoe Trail, Sri Lanka makes National Geographic's coveted 'Best of the World' List for 2024 — Daily FT(2024-02-01)
  4. President tours Pekoe Trail; explores opportunities to boost tourism along Central Highlands — Daily FT(2024-04-17)
  5. The Pekoe Trail: World's Greatest Places 2025 — TIME(2025-03-13)
  6. Govt. assures continuity of Pekoe Trail despite Founder's exit — Daily FT(2025-08-28)
  7. Cyclone Ditwah exposes climate risks to nature-based tourism in Sri Lanka — Mongabay(2025-12-24)
  8. Sri Lanka Tourism Alliance showcases new Pekoe trail in Love Sri Lanka Always Campaign — TravelMole(2026-04-23)

最終確認日 2026-09-03

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