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植民地期の公共図書館を、所有を市郡に残したまま民間が直して運営した

Book Bunk

ケニア / ナイロビ市郡 / ナイロビ(イーストランズ/カロレニ/マクミラン記念図書館)

植民地期の公共図書館を、所有を市郡に残したまま民間が直して運営した
© World Resources Institute — この写真が載っている記事

2017年に設立され、2018年にナイロビ市郡と組んで図書館の改修を始めた。2026年3月の時点でイーストランズとカロレニの2館が終わり、1931年開館のマクミラン記念図書館の工事が続いている。

何をしたか

ケニア・ナイロビで、傷んだ公共図書館を、建物の所有を市郡に残したまま民間の団体が直して運営している取り組み。World Resources Institute(2026年3月24日)によれば、2018年に Book Bunk がナイロビ市郡と組み、公共の所有と公開を保ったまま歴史的な図書館を改修することにした。

役割は分かれている。 改修・資金集め・催しの企画・日々の運営を Book Bunk が担い、建物の所有はナイロビ市郡が持ち続け、中核の図書館職員も市郡が出す(同)。

2026年3月時点で、イーストランズとカロレニの2館の改修が終わっている。 3館目は1931年に開いたナイロビ最古の公共図書館であるマクミラン記念図書館で、工事が続いている(同)。

直したのは建物だけではない。 音楽・踊り・遊び・美術の教室(Music Bunk / Dance Bunk / Play Bunk / Art Bunk)が、学習支援・読書の催し・文化の行事と並んで置かれている(同)。

誰が始めたか

Book Bunk Trust は2017年に設立された。 出版者アンジェラ・ワチュカ氏と作家ワンジル・コイナンゲ氏の2人による(World Resources Institute 2026年3月24日)。ワチュカ氏は同記事で、公共図書館を市民の拠点に戻したかったと述べ、知識・芸術教育・宿題の支援、さらに心の健康の相談といった役務に人が手を伸ばせる、尊厳のある場所をつくることが目的だったと説明している。

背景に植民地期の都市の形がある。 同記事は、ナイロビの空間の配置——どこに図書館が建てられ、誰のために建てられたか——にいまも植民地期の跡が残っていると書く。1963年の英国からの独立ののちも投資が乏しい年月が続き、多くの建物が使われないまま傷んだ。住民の半数以上が非公式の地区に住む都市では、公共の場所は市と同じくらい住民の手で作られ保たれているというのが同記事の見立てである。

建物そのものは20世紀初めのものである。 Paukwa(2019年4月24日)によれば、マクミラン記念図書館は、探検家で実業家のウィリアム・ノースラップ・マクミランの死後、妻のルーシー・マクミランがナイロビ市議会に建設を提案したもので、礎石は1929年に据えられた。ルーシー・マクミランは同館をマクミラン記念図書館法で保護し、史跡・記念物に位置づけた。

外部からの資金も入っている。 Gulf News(2019年12月16日)は、シャルジャ(UAE)が同館の改修に資金の支援を表明したと伝えている。図書館で開かれた資金集めの催しで、国際出版連合(IPA)の副会長でありシャルジャ世界図書首都諮問委員会の長でもあるボドゥール・ビント・スルタン・アル・カシミ氏が発表した。同記事は、Book Bunk Trust が市内3館の改修を監督すると書いている。

いくらかかったか

改修の総額は、参照した4本のどこにも書かれていない。 分かるのは断片である。

- いま集めている額:HapaKenya(2025年11月20日)によれば、マクミラン記念図書館の改修を終えるために2,500万シリングを集めている
- 資金の出どころ:同記事は、Book Bunk が社会的企業として組まれ、財団・個人・企業から資金を得ていると書く。公共図書館が創造の拠点であり不可欠な役務の担い手になりうると示す必要から、この形が選ばれているという説明である
- 外部からの支援:2019年12月にシャルジャ(UAE)が資金の支援を表明した(Gulf News 2019年12月16日)
- 利用者の負担:Paukwa(2019年4月24日)によれば、マクミラン記念図書館は見学のために週を通して公開されており、年会費1,000シリングで個人が会員になれる。小中学生は無料である

真似するなら最低何が必要か

第一に、所有を動かさないこと。World Resources Institute(2026年3月24日)によれば、この取り組みは公共の所有と公開を保ったまま改修する形をとっている。所有は市郡、改修と運営は民間、という分け方である。中核の図書館職員も市郡が出し続けている。

第二に、何を残し何を変えるかを住民に聞いてから決めること。同記事によれば、地域の相談会・聞き取り・少人数の話し合いを通して優先順位を洗い出し、それがいまの催しの中身を決めている。カロレニでは目の見えにくい子どもにワチュカ氏が会ったことをきっかけに、地元の団体と組んで視力の検査を始めた。

第三に、館ごとに中身を変えること。Book Bunk Trust の催し担当ディレクター、マリアン・ワムユ氏は、場所が違えば来る人も違うという趣旨を述べている(同)。カロレニは市内で最も古い地区の一つで休暇中の活動と若者向けの芸術教育が中心、イーストランズは年長の生徒や大学に通う人の学習・デジタル技能・共同制作が中心という違いがある。

第四に、利用者と志願者を職員にする道をつくること。当初は志願者に頼っていたが、地域の人が職員になり長く場所を預かる道が用意された。改修と運営で93人分の仕事が生まれ、うち21人が常勤で、その多くは元の志願者や利用者である(同)。

第五に、お金を地元に落とす形を先に決めること。HapaKenya(2025年11月20日)によれば、Book Bunk は地域の疑いに応えるため、催しの支出の一定の割合が地元の職人や業者に回るようにし、長期の企画では地元の講師を雇っている。

第六に、分類の仕組みまで見直すこと。同記事は、デューイ十進分類法のような仕組みがいまの資料に合うかを検討し、職員の技能を今日の求めに合わせて上げる作業が含まれると書いている。

今どうなっているか

2026年8月時点で確認できたのは、2026年3月24日の記事までである。

2館が終わり、3館目が工事中である。 World Resources Institute(2026年3月24日)によれば、イーストランズとカロレニの改修は終わり、マクミラン記念図書館は工事が続いている。同記事は、この取り組みを WRI Ross Center Prize for Cities の最終候補を紹介する連載の一本として扱っている。

使われ方が変わったという証言が載っている。 Book Bunk Trust の広報担当シャロン・タルス氏は、住民が「図書館に来ることに安心を感じている」とし、子どもを送り出して一日預けることにも安心していると述べている(同)。カロレニ図書館の近くのマコンゲニで育ち、子どものころ同館を使っていた踊りの講師の一人は、振り付けと踊りの指導に、自分を知ること・共に働くこと・自信をめぐる生活技能の訓練を組み合わせている(同)。

負荷と抵抗も報じられている。 HapaKenya(2025年11月20日)は、この仕事に個人の消耗する犠牲と絶えざる政治的な押し戻しが伴ってきたと書いている。参照した4本の中に、押し戻した側の言い分は無い。 同記事は、ワチュカ氏が図書館を社会の基盤かつ経済の駆動力として扱うべきだと訴え、使われていない公民館のような他の公共空間と統合して公有地を守り、地域が使える範囲を広げることを主張したと伝えている。

全国の図書館を数える作業も生まれている。 World Resources Institute(2026年3月24日)によれば、事業の早い段階でケニアの図書館制度についての情報がほとんど無いことに気づいたため、全国の図書館を地図に落とす取り組みを始め、およそ1,200館を見つけて全体像を初めて描いた。 その調べは、改修・統治・運営の進め方をまとめた手引き(Book Bunk Blueprint)に流し込まれている。

出典

  1. The Library That Was and Continues To Be — Paukwa(2019-04-24)
  2. Sharjah to help restore historic library in Nairobi — Gulf News(2019-12-16)
  3. How Book Bunk is reimagining libraries in Kenya — HapaKenya(2025-11-20)
  4. Reviving Nairobi's Libraries Is Building Healthier Communities — World Resources Institute(2026-03-24)

最終確認日 2026-08-19

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