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お金を地域で回す交通・道路・駅25万超

廃止された路線バスを、住民が自らNPOを作って引き継ぎ、沿線企業の協賛金で走らせ続けている

生活バスよっかいち

日本 / 三重県 / 四日市市(羽津・大矢知・垂坂・大谷台の各地区)

廃止された路線バスを、住民が自らNPOを作って引き継ぎ、沿線企業の協賛金で走らせ続けている
© YOUよっかいち — この写真が載っている記事

2003年4月に有料運行を始め、2010年に大谷台まで延伸、2023年3月に20年、2024年1月に20周年記念講演会があった。2026年時点で運賃は150円、利用者は1日40〜50人程度で推移している。

何をしたか

三重県四日市市で、赤字を理由に廃止された路線バスの代わりを、地区の住民が自分たちでNPO法人を作って走らせ続けている。 あしたの日本を創る協会「まち むら」98号(2007年8月)によれば、2002年5月末に三重交通の路線バスが廃止されたあと、住民が地元スーパーの協力を得て試験運行を始め、2003年4月には西脇良孝氏ら8人が理事となってNPO法人「生活バス四日市」を設立、1回100円の有料運行に移った。運行資金は運賃だけでは足りず、沿線企業からの協賛金と四日市市の補助金で支えている。

誰が始めたか

中心になったのは、廃止対象の地区に住んでいた西脇良孝氏である。 「まち むら」(2007年8月)は、羽津・大矢知の両地区と近鉄四日市駅を結ぶ三重交通の路線バスの廃止(2002年5月末)の直前に地区住民に行ったアンケートで152人から回答があり、「買い物や病院へ行くのに不便になる」との声が多く寄せられたと書く。この結果を、当時、羽津いかるが町自治会の副会長だった西脇さんが受け止め、市に代替バスの運行を要望したが色よい返事は得られなかった、という(同)。

そこで住民は、行政を頼らず自分たちで動いた。 同記事によれば、隣の鈴鹿市で無料の買い物バスを走らせていた地元スーパー「スーパーサンシ」の大矢知店に協力を要請し、リスクを避けるため運行そのものは三重交通に委託、同店や沿線事業所からの協賛金で2002年11月から運賃無料の試験運行を始めた。翌2003年4月、西脇さんら8人が理事となってNPO法人「生活バス四日市」を設立し、有料の本格運行に移行した(同)。四日市市(2023年4月14日)は、これを「地域が運行する全国で初めてのバス路線」としている。

役職の書かれ方は出典で割れている。 2024年1月20日の20周年記念講演会を報じた記事で、YOUよっかいちは西脇氏について、富士電機を退職後、四日市市羽津いかるが町の自治会長などを務めた人物と紹介している。同紙は2026年2月23日の記事では、廃線当時に羽津いかるが町自治会長だったと時期を特定して書いており、廃線直前の役職を副会長とする2007年の「まち むら」と正面から食い違う。discrepanciesに3つとも残した。

2010年には、住民の要望で路線が広がった。 YOUよっかいち(2026年2月23日)によれば、高齢化により買い物難民が生まれていた大谷台自治会からの依頼を受け、路線を大谷台まで延伸した。

いくらかかったか

運賃収入だけでは運営費を賄えない。 「まち むら」(2007年8月)によれば、本格運行移行後、スーパーや病院など沿線6事業所が毎月計50万円を協賛金として支出し、四日市市からも毎月30万円の補助金が出ていた。このうち毎月30万円を負担していたスーパーサンシ大矢知店の相川芳樹・統括店長は、同記事の取材に、地域活性化への貢献に加えて、バスで客が来れば売り上げにつながり店にとっても利点があると話している。協賛への返礼として、NPO側はバス停の名前に事業所名を使ったり、車内に協賛事業所の一覧を掲示したりして、広告という形で恩返しをしているという(同)。

2024年1月20日の講演会で、西脇理事長は資金の内訳を割合で説明したとYOUよっかいちは伝えている。 それによれば、利用者による1回100円(当時)の運賃収入が全体の20%、沿線企業の協賛金が30%、四日市市からの補助が50%の割合になっているという。2007年時点の実額(協賛金月50万円・市補助金月30万円)とこの2024年の割合は、示す時点も単位(実額と割合)も異なるため、単純に比較できない。

運賃自体も変わった。 2003年の開始時は1回100円だったが、YOUよっかいち(2026年2月23日)は運賃が150円になっていると伝えている。同記事は、NPOが利用者の負担を軽くするために新たな協賛企業を募集していることも伝えている。

真似するなら最低何が必要か

第一に、行政に断られても、まず地区住民自身でニーズを裏付ける調査をすること。「まち むら」(2007年8月)によれば、路線バス廃止直前に住民アンケートを行い、152人の回答から具体的な困りごと(買い物・通院の不便)を可視化したことが、その後の行動の起点になった。

第二に、リスクの低い形で始めること。同記事によれば、運行そのものを既存のバス事業者(三重交通)に委託し、住民組織は企画・資金集めに専念する体制を取った。最初の数か月は運賃を無料にし、沿線事業所の協賛金だけで試験運行を行っている。

第三に、沿線の企業・商店を巻き込み、返礼を用意すること。同記事によれば、バス停の命名権や車内での協賛事業所一覧の掲示という広告の形で、協賛企業への見返りを作っている。スーパーサンシ大矢知店の店長は、バスの利用者が来店すれば売り上げにもつながるという店側の利点も語っている(同)。

第四に、行政の補助を、住民の自主運営と組み合わせること。四日市市の令和7年度「エコパートナー紹介」(同市発行、最終更新2026年4月4日)で、NPO側は、住民のボランティア活動・沿線事業者の協賛金・運行事業者(三重交通)の協力・行政の補助金・運賃収入という複数の担い手による「役割分担(コラボレーション)」で支えられていると述べている。

第五に、利用者や次の担い手の声を聞き、路線・世代を広げ続けること。YOUよっかいち(2026年2月23日)によれば、2010年には別の自治会(大谷台)からの要望で路線を延伸し、2026年には路線沿いの3小学校の児童が車体に絵を描くPR企画を行うなど、若い世代への働きかけも続けている。同記事は、利用者向けの定期券「生活応援パス」をNPO代表の西脇氏がパソコンで自作していることも伝えている。

今どうなっているか

2026年8月時点で確認できているのは、四日市市が発行した令和7年度「エコパートナー紹介」(最終更新2026年4月4日)までである。

運行は20年を超えて続いている。 四日市市(2023年4月14日)によれば、2003年4月に運行を開始し、令和5年(2023年)3月に20年の節目を迎えた。同市の令和7年度「エコパートナー紹介」(最終更新2026年4月4日)では、NPO側が22年間活動を行ってきたと記している。同市はこの功績を称え、2023年4月20日にNPO法人生活バス四日市への感謝状贈呈式を行った。2024年1月20日には、四日市市文化会館で20周年記念講演会が開かれ、立ち上げから協力してきた名古屋大学大学院の加藤博和教授が登壇した。YOUよっかいちによれば、加藤教授は、運行開始当時は前例がないなどとして消極的だった国が地域交通に積極的になったことや、各地に四日市に触発された路線ができていることを紹介し、生活バスよっかいちを「まさに国の宝のような存在」と評したという。これは加藤教授個人の発言としてYOUよっかいちが伝えたものであり、Terroirの断定ではない。

利用者数は、ピーク期と比べて減っている。 YOUよっかいち(2024年1月20日)は、利用者がピーク時の1日約120人に比べ、当時は40〜50人になっていると伝えた。四日市市の令和7年度資料(最終更新2026年4月4日)は、平成22年(2010年)ごろの最盛期に100人を超える乗車があった後、コンビニなど商店の増加・利用者の高齢化・高齢運転者の増加・新型コロナウイルスの影響などにより利用者が50人ほどに減ったが、回復傾向にあるとしている。2つの記述は食い違ってはいない(約120人は100人を超える範囲に含まれる)。違うのは時期を特定しているかどうかと数値の精度で、そのためdiscrepanciesには立てていない。

運賃は値上げされている。 2003年開始時の1回100円から、2026年2月時点で150円になっている(YOUよっかいち)。同記事は、NPOが利用者の負担軽減のため新たな協賛企業を募集していると伝えている。「まち むら」(2007年8月)も、協賛事業所がなかなか広がらないことを当時の課題として挙げていた。

縮小や撤退を伝える記述は、参照した6本のいずれにも無い。 2026年2月には、沿線の3小学校の児童約50人が参加して車体に絵を描くPRイベントが開かれ、CTY・CNS(2026年2月24日)とYOUよっかいち(同23日)の両方が報じている。若い世代への浸透はまだ薄く、YOUよっかいちは、参加した子どもの多くが生活バスに乗った経験がないと伝えている。

出典

  1. 地域の足を守り、育てる地域住民・企業 三重県四日市市・NPO法人生活バス四日市 — 財団法人あしたの日本を創る協会「まち むら」98号(2007-08)
  2. 令和05年04月14日 記者発表資料 NPO法人生活バス四日市への感謝状贈呈式について — 四日市市役所(2023-04-14)
  3. 「地域の努力が国の考えを変えた」、生活バスよっかいち20周年を記念して講演会開く — YOUよっかいち(2024-01-20)
  4. 小学生が車体に絵 住民運行のコミュバスと地域つなぐ新たなPR企画 四日市 — YOUよっかいち(2026-02-23)
  5. 【ケーブルNews】生活バスよっかいち 子どもがお絵描き — CTY・CNS(2026-02-24)
  6. 令和7年度 エコパートナー紹介 特定非営利活動法人 生活バス四日市 — 四日市市(四日市公害と環境未来館)(2026-04-04)

最終確認日 2026-08-30

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