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誇りをつくるデジタル・情報発信5万〜25万

震災で流出しかけた郷土史料を住民有志がデジタル化し、冊子や写真展で地域に返している

石巻アーカイブ

日本 / 宮城県 / 石巻市

この記録は運営主体の発信を含みます。

開始から6年後の2022年に地域安全学会論文集が活動の意味を分析し、2026年(2025年度分)まで内閣府のNPO法人ポータルサイトに事業報告書の提出記録がある。

何をしたか

宮城県石巻市の郷土史研究愛好者ら10人が2016年に集まり、東日本大震災の津波で流出・損壊しかけた私蔵の古写真・古地図・古文書を持ち寄ってデジタル化する活動を始めた。2018年2月20日、NPO法人としての設立認証を受けた(内閣府)。 集めた資料は生データのまま公開せず、『石巻古地図散歩』などの冊子や、街なかでの写真パネル展にまとめて地域に還元している。

誰が始めたか

公式サイトの自己説明によれば、2016年11月、震災を免れた古い地図や写真類(プリント・ネガ・ガラス乾板など)を手元に残していた市内の旧家・郷土史家たちが資料を持ち寄り、情報を交換する場を設けたという。そこで資料の出版が話題にのぼり、半年余りの収集と編集の末、「石巻アーカイブ地図研究会」の名で2017年6月に『石巻古地図散歩』を世に出した。続けて同年11月に『あゝ、松島の空遠く〜海軍松島航空基地沿革史〜』、2018年2月には『石巻古地図散歩2』を発行したという。特定非営利活動法人としての申請時の会員は10名だったとしている。

地域安全学会論文集(2022年)は、この団体を独立した立場から分析している。 同論文によれば、石巻アーカイブは2016年に石巻市の郷土史に詳しい愛好者・研究者10人が集まって立ち上げた特定非営利活動法人で、投稿時点の会員数は個人・法人を合わせて41人だとしている。出発点は、東日本大震災により地元の郷土史愛好家が私蔵していた資料の多くが失われ、そうした私蔵史料の公的な受け皿が震災後に無かったことにあると分析している。代表理事は小野寺豊で、団体発足前から自身の事業を通じて地域住民と信頼関係を培っていたことが、資料収集が円滑に進んだ要因の一つだと同論文は指摘している。

団体としての設立(自称・活動開始)と、NPO法人としての法的な認証は時期が異なる。 内閣府のNPO法人ポータルサイトによれば、宮城県が所轄庁として登録した設立認証年月日は2018年2月20日である(設立年月日そのものの欄は空欄)。定款は、震災で失われたり傷んだりした歴史資料と現存する資料をできる限り長く保存し、資料を持つ人どうしの情報交換を通じて石巻の住民に地域の文化や歴史への理解を広めること、また住民が郷土への愛着を育み、それを次の世代へ伝えていくことを、法人の目的として掲げている。

いくらかかったか

建設費のような一時金は無く、活動の運営費や年間予算の総額を示す出典も見つからなかった。 分かるのは断片的な情報だけである。

地域安全学会論文集によれば、冊子の編集・印刷については石巻市の補助金を活用しているが、金額は書かれていない。同論文はまた、集めた史料の生データを全面公開せず、冊子の頒布とPDFの一部公開にとどめている理由として、大量のデジタルデータを常時公開する場合はサーバーの維持だけでも巨額の財源が必要になることを挙げ、公開範囲を絞ることで財政上の持続可能性を担保していると分析している。

公式サイトには冊子の購入案内があるが、掲載されているのは送料の一覧(『石巻古地図散歩』『震災前の石巻 明治大正昭和 石巻の絵葉書』各500円、『石巻古地図散歩2』500円、両方合わせて700円)であり、書籍本体の価格ではない。 本体価格は今回キャッシュした出典本文からは確認できなかった。

2024年の「まちなか写真展」は、公式サイトの説明では石巻市などの後援を得ているが、資金提供の有無や金額には触れていない。 特別協賛にCanonの名がある2018年の「MIYAGI 1951」写真展も同様に、金額は書かれていない。

真似するなら最低何が必要か

出典から取り出せるのは5つである。

1. 私蔵資料の「公的な受け皿」になること。 地域安全学会論文集によれば、石巻アーカイブの出発点は、震災で個人所有の郷土史料が失われても、それを公的に保存する仕組みが震災後に無かったという気づきである。まず受け皿を作ることが先にある
2. 生データを全部公開しない設計にすること。 同論文は、史料のデジタル・データを基軸としながらも、収集・保存と公開の形態を分離しているのが特徴だと分析している。大量データの常時公開はサーバー維持費だけで巨額の財源が要るため、生データは非公開のまま、冊子とPDFの一部公開にとどめることで持続可能性を担保しているという
3. 住民参加のワークショップを通じて資料と記憶を集めること。 同論文によれば、「おらほの町の郷土史づくりプロジェクト」は石巻市を7地区に分け、地区ごとの歴史を写真・地図・年表とともに事典の形にまとめるもので、地域住民も加わる会合を重ねながら編まれている(同論文執筆時点で4地区分の冊子が刊行済み)
4. 発足前からの地域住民との信頼関係。 同論文は、私蔵史料の収集が順調に進んだ大きな要因として、代表者が団体発足前から自身の事業のつながりで地域住民と信頼関係を培っていたことを挙げている
5. 自治体の補助金を編集・印刷費に充てること。 同論文によれば、冊子の編集・印刷には石巻市の補助金が使われている。ただし補助の制度名や金額は今回の出典からは確認できなかった

確認できないのは、団体の年間運営費の総額、会員の会費の有無や金額、写真展にかかった費用、そして史料のデジタル化にかかる人手や機材の詳細である。

今どうなっているか

2026年8月時点で確認できる最も新しい記録は、内閣府のNPO法人ポータルサイトである。 同ページの「閲覧書類等」欄は2026年6月29日に更新されており、2021年度から2025年度まで5年分の事業報告書等が提出されていることが分かる。これは団体が2026年時点でも法人として活動を継続していることを示す記録である。

公式サイトの自己説明によれば、2024年6月頃から2025年1月14日まで、市街地の約26箇所に1951年当時と現在の写真を並べたA1サイズのパネルを展示する「1951・まちなか写真展」を、石巻市などの後援のもとで開催した(このページ自体は同サイトのXMLサイトマップによれば2024年6月24日更新)。公式サイトのトップページ(sitemap-misc.xmlの<lastmod>によれば2026年4月20日更新)は、看板商品である『石巻古地図散歩』が好評につき2025年8月から再販中だとしている。ページ本文そのものに掲載日は無く、ここに示した日付はいずれもページのXMLサイトマップに記録された最終更新日である。

公式サイトの英語版と日本語版で、記述に食い違いがある。 地元紙「石巻かほく」が連載した「よみがえる1951」(郷土史家・邊見清二による解説つき)の終了時期について、同じページの日本語部分は連載が275回で「2024(令和6)年3月」に終わったと書いているのに対し、英語部分は同じ275回目の終了を「April of 2023」としており、年がずれている。どちらが正しいかは今回の出典からは判断できない。

否定的な報道は、今回の探索の範囲では見つからなかった。 ただし、石巻アーカイブについて継続的に報じてきたとみられる地元紙「石巻かほく」(kahoku.news)は、robots.txtがClaudeのクローラーを名指しで拒否しており取得できなかった(reference/fetch-status.md 参照)。そのため、報道による独立した検証は地域安全学会論文集1本と内閣府の登録情報にとどまる。

出典

  1. 場所と物語のあいだ:「石巻アーカイブ」の地域活動における写真の 〈ここ〉性 — 地域安全学会論文集(2022-03-25)
  2. 石巻アーカイブ — 内閣府 NPO法人ポータルサイト(2026-06-29)
  3. 石巻アーカイブとは — 石巻アーカイブ(公式サイト)(2025-05-14)
  4. MIYAGI1951 — 石巻アーカイブ(公式サイト)(2018-08-21)
  5. 2024まちなか写真展 — 石巻アーカイブ(公式サイト)(2024-06-24)
  6. 石巻アーカイブ 石巻の昔と今の記録集 — 石巻アーカイブ(公式サイト)(2026-04-20)
  7. よみがえる1951 Part1(既刊),Part2(2021年11月発売) — 石巻アーカイブ(公式サイト)(2025-08-07)

最終確認日 2026-08-30

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