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住む人を増やす・戻すエネルギー・資源循環5万人未満

高齢化率5割を超えた集落の老朽町営住宅を、木質バイオマス熱供給つきの集住化住宅に建て替えた

一の橋バイオビレッジ

日本 / 北海道 / 上川郡下川町

高齢化率5割を超えた集落の老朽町営住宅を、木質バイオマス熱供給つきの集住化住宅に建て替えた
© colocal(コロカル、マガジンハウス) — この写真が載っている記事

2023年3月時点で、10年以上が経っても人口はほぼ変わらず、高齢化率は低下したとCircular Economy Hubは伝えている。

何をしたか

北海道下川町の一の橋地区は、1960年に2,000人以上が住んでいたが、2009年には95人にまで減っていた。町はここで、老朽化した町営住宅を、木質バイオマスボイラー2基で給湯・暖房をまかなう集住化住宅「一の橋バイオビレッジ」に建て替えた。2013年に22戸が完成し、地域おこし協力隊による生活支援や、余った熱を使ったシイタケ栽培の雇用も組み合わせている。

誰が始めたか

下川町は2010年、地区の存続策として「一の橋バイオビレッジ構想」を打ち出したとされる。高齢化率が50%を超えていた集落で、老朽化した町営住宅の建て替えとエネルギー自給を結びつける議論が進み、2013年に集住化住宅が完成した。運営面では、町が受け入れる地域おこし協力隊のメンバーが中核を担い、住民同士の交流を後押しする活動、ICTを使った高齢者の見守り、冬季の除雪の手伝い、地元の食材を使う食堂の運営などにあたっているとCircular Economy Hubは伝えている。

いくらかかったか

一の橋バイオビレッジ本体の建設費・整備費を示す出典は見つからなかった。分かるのは下川町全体の木質バイオマス熱利用がもたらす効果で、灯油の使用量削減額は2014年実績で年間1,800万円とされ、この削減分は半分がボイラーの維持費、残り半分が中学生までの医療費無料化や給食費支援などの子育て支援に充てられていたとgreenz.jpは2017年に伝えている。2023年時点では、削減額は年間2,700万円となり、地域内の施設更新費用と子育て支援(医療費無料化・給食費補助・不妊治療費助成等)に充てられているとCircular Economy Hubは伝えている。同じ取材では、2023年時点の地域熱エネルギー自給率は56%(公共施設への熱供給に限れば68%)で、推計で年間2.4億円のエネルギー購入費が町外に流出せずに済んでいるという。

真似するなら最低何が必要か

複数の出典を重ねると、いくつかの要素が浮かび上がる。

第一に、燃料を安定調達できる林業基盤である。下川町は町域の9割を森林が占め、林業が基幹産業として残ってきたことが、未利用材を燃料にするバイオマスボイラーの前提になっている。

第二に、老朽化した公営住宅の建て替え時期を、熱源整備とセットにしたことである。新築の機会ではなく、更新せざるを得ないタイミングを使ってエネルギー自給型の住宅に切り替えている。

第三に、熱源の転換で影響を受ける既存事業者を、対立ではなく事業の担い手として巻き込んだ点である。灯油の使用量減少で経営が苦しくなる地元の灯油販売業者と町が協議し、灯油組合をもとに「下川エネルギー供給協同組合」を発足させ、バイオマス燃料の供給をその組合に委ねたとgreenz.jpは伝えている。

第四に、余った熱の二次利用先を用意したことである。集住化住宅の熱源から出る余熱でシイタケの菌床栽培を行い、エネルギー事業単体ではなく雇用を伴う形にしている。

第五に、地域おこし協力隊など、日常の生活支援を担う人員を同時に配置したことである。買い物や除雪、高齢者の見守りといった生活面の支援が、エネルギー面の自給と並行して行われている。

今どうなっているか

2023年3月時点で、一の橋バイオビレッジは完成から10年以上が経ち、人口はほぼ変わらず、高齢化率は低下したとCircular Economy Hubは伝えている。同記事は、町がバイオビレッジを一つの成功モデルと見て、町内の他地域への展開を模索しているとも書いている。2022年11月時点で、ビレッジ内の宿泊ハウス(1LDK・定員5名)は一般の宿泊者を受け入れており、申し込み窓口はNPO法人地域おこし協力隊が担っている。一の橋バイオビレッジそのものについて、閉鎖や失敗を報じる記事は見つからなかった。

出典

  1. 地元食材を味わえるカフェ付き 〈一の橋バイオビレッジ〉。 自給エネルギー町営住宅に宿泊! — colocal(コロカル、マガジンハウス)(2015-12-25)
  2. マイナス30度でも移住者が増加中。北海道下川町の、森とともに生きていくまちづくりの秘密 — greenz.jp(NPO法人グリーンズ)(2017-03-03)
  3. 北海道下川町の循環型まちづくり。サーキュラーシティに向けたヒントとは? — Circular Economy Hub(運営:ハーチ株式会社)(2023-03-27)
  4. 一の橋バイオビレッジ「宿泊ハウス」について — 下川町(産業振興課)公式サイト(2022-11-16)

最終確認日 2026-08-30

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