不動産会社の経営者を中心に5人で空き家の相談窓口を作り、県内全域から年約150件を受けるまでになった
ミチル空間プロジェクト
立ち上げは2015年3月で、記録は2015年から2026年にわたる。2015年の記事は国の事業への採択と相談センターの開設を、2026年2月の資料は和歌山市が指定した支援法人としての位置づけを、2026年6月の記事は年間約150件の相談を扱っている。
何をしたか
和歌山市で、空き家の持ち主が最初に持ち込む窓口を民間の側に作った。 ニュース和歌山の2015年の記事によれば、一般社団法人ミチル空間プロジェクトは、シェアハウスやリノベーションできる賃貸マンションなどの物件を紹介する不動産会社の経営者である南順子が中心となって同年3月に立ち上げ、メンバーは建築士や不動産オーナーら5人だった。同年5月に国土交通省の空き家管理等基盤強化推進事業の実施機関として和歌山県内で初めて選ばれ、同紙は「空き家相談センターわかやま」を8月下旬に設けると報じた。目的は、県内の空き家を掘り起こし、管理と利活用を提案することでまちづくりにつなげることだとされている。
誰が始めたか
行政ではなく、不動産の実務者である。 前述のとおり中心にいたのは不動産会社の経営者で、集まったのは建築士や不動産オーナーら5人である。
ただし、動く仕組みは行政と地続きに作られている。 同紙によれば、相談センターは自治体と連携して月1、2回の無料相談会を開き、所有者から悩みを聞いて内容によっては建物の簡易調査を実施し、状況に応じて司法書士ら専門家や荷物整理業者、解体業者へつなぐ形にすると書かれている。いずれも開設前の記述であり、そのとおり運用されたかは今回の出典からは確認できない。
人手はボランティアで賄う設計だった。 同紙は、2015年6月18日に相談員を養成するための説明会を和歌山大学まちづくりプロジェクト室で開催すると伝え、南理事長の「相談員はボランティアなので、空き家問題解消へ志のある方に協力してほしい」という言葉を載せている。説明会では、メンバーで和歌山大学システム工学部の小川宏樹准教授が県内の空き家の現状を説明し、奈良県で同じ事業に選ばれた団体の代表理事も話すとされた。
いくらかかったか
運営費も、国の事業による支援額も、今回の出典からは確認できなかった。 funding_scale は unknown_fields に挙げている。
出典から分かるのは組織の作り方のほうである。前節のとおり2015年の記事では相談員はボランティアとされ、専門的な処理は外部の士業や事業者へつなぐ形が示されている。2026年の2本にはボランティアの語が無く、現在の体制は確認できない。2015年の記事が示した設計では、組織の中に抱えるのは窓口と調査までである。
真似するなら最低何が必要か
出典から取り出せるのは4つである。
1. 入口を1つにすること。 相談の中身は賃貸・売買・荷物整理と幅がある。同法人はそれを1つの窓口で受け、内容に応じて司法書士ら専門家や荷物整理業者、解体業者へつなぐ形にした
2. 解体以外の選択肢を先に見せること。 南理事長は2015年の記事で、家主に対して解体以外の活用の方法も助言したいという考えを示している
3. 調査を挟む設計にすること。 同紙によれば、悩みを聞いたうえで内容によっては建物の簡易調査を実施するとされていた。話を聞くだけで振り分ける形にはなっていない(2015年の記事の記述)
4. 公的な位置づけを取りに行くこと。 和歌山市の2026年2月の資料によれば、同法人は令和7年1月23日指定の空家等管理活用支援法人3者のうちの1つである(他は株式会社和みと公益社団法人全日本不動産協会)。同資料は空き家対策を啓発・活用・除却の3本柱に整理し、啓発の側にある「空き家カンファレンス」の担い手として同法人を置いている
解決の度合いは一部だけ分かる。 和歌山市の資料は、空き家カンファレンスについて相談件数の84%が解決又は解決に向けて前進したと書いている。確認できないのは、運営費、空き家カンファレンス以外の相談の解決率、そして設立から今日までに扱った空き家の総数である。
今どうなっているか
2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2026年6月のLIVING和歌山である(掲載日は meta と JSON-LD が2026-06-03、本文の表示は2026/6/4 で1日ずれている)。同紙は、空き家相談センターわかやまが国土交通省の事業に採択され、県内全域を対象に年間約150件もの相談を受けていると書いている。
規模の背景も同紙が置いている。 総務省の住宅・土地統計調査(2023年)によれば和歌山県の空き家数は約10万5000戸で、空き家率は21.2%と、徳島県に次いで全国2位である。
相談の中身について、当事者はこう説明している。 南順子は同紙に、特に多いのが相続だとし、高齢化で親の死去や施設入所によって空き家が発生するケースが増えていること、相続人が多かったり所有者が不明だったりすると解体すら進めにくくなることを挙げている。同じ談話の中で、適切に管理されていない「管理不全空家等」は自治体から指導や勧告が入って固定資産税の負担が増える可能性があり、さらに悪化して「特定空家等」に指定されると50万円以下の過料が科されたり解体費用を求められたりすると述べている。これはいずれも南の説明であって、同紙自身の記述ではない。
行政の側の位置づけも出典に書かれている。 和歌山市の2026年2月の資料は、令和7年度から通報システムの運用と管理不全空家等への指導を始めるとし、同法人を空家等管理活用支援法人の1つとして掲げている。2015年に県内初の実施機関として報じられたものが、2026年の資料では市の空き家対策の中に置かれている。
否定的な報道は、今回探した範囲では見つからなかった。和歌山県で robots.txt が Claude を名指ししていないことを実測できたのは LIVING和歌山・ニュース和歌山・和歌山経済新聞の3社で、他紙は当たっていない。 なお2025年の学会報告は、第一著者の所属が同法人であり、共著者の小川宏樹も2015年の記事で同法人の「メンバー」と書かれているため from_operator: true として申告し、本数には数えていない。
出典
- 空き家の悩み お聞きします ミチル空間プロジェクト 和歌山県内初 国交省事業に — ニュース和歌山(2015-06-13)
- 空き家問題の解決に向けた地域内譲渡・寄付モデルの研究 — 日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集(2025-07-21)
- 空家等管理活用支援法人と連携した空き家対策 ~和歌山市の取り組み~(和歌山市 都市建設局 建築住宅部 耐震・空家対策課) — 国土交通省近畿地方整備局(2026-02-27)
- 無料相談窓口を活用して不要な空き家を上手に手放す — LIVING和歌山(2026-06-03)
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