川と公園を稼げる場所にして、駐車場の売上をまちづくりの原資に回した
紀州まちづくり舎
2014年設立から、記録は2025年まで続く。2017年の記事は市堀川の社会実験を、2020年の記事は本町公園と地下駐車場の指定管理と収入の仕組みを、2025年の記事は毎日開いてきた夜市を4月以降も継続すると報じている。
何をしたか
和歌山市の中心市街地で、株式会社紀州まちづくり舎が川と公園を使えるようにし、そこから出るお金をまちづくりに戻す形を組んだ。 ニュース和歌山によれば、同社は2014年設立で、ぶらくり丁の空き店舗をリノベーションして飲食店・ゲストハウス・ギャラリーを運営してきた。そこから公共空間へ広がり、市堀川沿いでは社会実験のイベントが計画され、本町公園では指定管理を引き受けた。要点は場所ではなく金の流れの向きである。 同社を中心とするグループは、本町地下駐車場について市に基本納入金を払い、売上は自分たちに入るという形に切り替えた。
誰が始めたか
代表取締役は吉川誠人である(和歌山市・ニュース和歌山・和歌山経済新聞のいずれも同じ)。ただし、単独ではない。
LIVING和歌山の2017年の記事によれば、市堀川の取り組みは和歌山市から業務委託を受けた「わかやま水辺プロジェクト」として始まり、同社と、水辺の空間活用をコンサルティングする「水辺総研」が中心となった。同プロジェクトはミズベ会議やワークショップを交えたシンポジウムを開き、そこで出た「きれいな川、自然豊かに」「憩いの場に」「マルシェでにぎわい」といった声からビジョンを作ったとされる。発注したのは市である。
本町公園の側も同じで、ニュース和歌山によれば指定管理者になったのは同社単独ではなく、駐車場管理を手掛ける大揚興業、空き家・古民家の活用や再生支援を行う和みほかでつくる「紀州まちづくりグループ」である。
和歌山市は令和6年10月2日更新のページで、市内の都市再生推進法人を国内トップの13団体とし、同社の事業を「公共空間や水辺空間の利活用を中心としたイベントの企画運営、P-PFI事業及び指定管理者制度の活用」と記している。同社はその13のうちの1つである。
いくらかかったか
事業費は、今回の出典からは確認できなかった。 funding_scale は unknown_fields に挙げている。
代わりに分かるのはお金の入り方が変わったことである。ニュース和歌山によれば、市が駐車場の管理を民間委託する際、これまでは委託料を受託者に払い、売上は市に入る形だった。本町地下駐車場では、紀州まちづくりグループが市に基本納入金を支払い、売上は同グループに入る。売上が一定額を超えると、その一部を市に払う仕組みである。
金額として出典に書かれているのは、市堀川夜市のナイトクルーズの料金(中学生以上1,500円・子ども1,000円)だけである。
真似するなら最低何が必要か
出典から取り出せるのは5つである。
1. 社会実験を先に置くこと。 LIVING和歌山は、2017年のイベント「ワカリバ」を社会実験と位置づけ、河川や水辺空間を民間がどのように活用できるか、地域のにぎわい創出につながるかが検証されると書いている。いきなり本設にしていない
2. 公園と駐車場を組にすること。 ニュース和歌山によれば、和歌山市は中心拠点再生地区にある本町公園と、休止していた本町地下駐車場を合わせて民間委託にした。どちらが収益源かは出典に書かれていないが、吉川氏は「公園の利用者を増やすことで駐車場収入を上げ、その利益をまたまちづくりに生かしていきたい」と述べている
3. 売上が事業者側に入る契約にすること。 前節の基本納入金の形がそれにあたる。委託料を受け取る形のままでは、利用者を増やす動機が生まれない
4. 人を集める定期イベントを別に持っていること。 ニュース和歌山によれば、同社は5年前から毎月第2日曜にぶらくり丁商店街でマルシェ「ポポロハスマーケット」を開き、平均約8000人、多い月は1万人を集めている。吉川氏は、その開催日には周辺のコインパークが満車状態になると述べている
5. 建物を用途で積み替えること。 ニュース和歌山は2020年の記事で、公園東端の倉庫だった建物をリノベーションし、1階にカフェ・バーを設けてペットと入れる部屋も確保する、2階は貸しスペース・貸しオフィス・コワーキングスペースとする、とこれからの計画として書いている。同記事は末尾で、地下駐車場の再オープンを4月1日、カフェ・バーのオープンと公園リニューアルオープンイベントを26日に予定していると書いている。いずれも記事の掲載日より後であり、記事の時点では開業前である。2階の用途とペットと入れる部屋が実現したかは、今回の出典からは確認できない
確認できないのは、事業費、基本納入金と売上の実額、そして駐車場収入が実際にどれだけまちづくりに回ったかである。2020年の記事は始まりを報じたもので、金額の実績は書かれていない。
今どうなっているか
2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2025年4月25日の和歌山経済新聞である。市堀川沿いの京橋親水公園に飲食屋台が並ぶ「市堀川夜市」について、2024年10月1日から3月31日までの予定で毎日開催してきたものを、同社と和歌山市が協議して4月以降も試験的に続けると報じている。伝統的な木舟「三反帆」を使ったナイトクルーズも運航している。
吉川氏は同記事で、「まずは『市堀川には夜、屋台が出る』という光景を、地域の日常に根付かせたい」と述べ、続けて、春になり人通りが増えて立ち寄る人も増えていること、来訪者の半分くらいは県外の人で外国人観光客も毎週のように訪れていることを挙げている。これは事業者本人の説明であり、来場者数の計測結果ではない。
「試験的な開催を継続する」という書き方である点に注意がいる。 出典は本設になったとは書いていない。当初の予定を延長した段階である。
否定的な報道は、今回探した範囲では見つからなかった。ただし和歌山県の地方紙のうち、今回robots を確認して取得できたのは LIVING和歌山・ニュース和歌山・和歌山経済新聞の3社で、他は当たっていない。 学術については、CiNii に同社を扱った書誌が1件も無いことを確認している。
出典
- 水辺を歩こう 未来につながる魅力を求めて — LIVING和歌山(2017-09-20)
- 本町公園リノベーション — ニュース和歌山(2020-03-28)
- 都市再生推進法人について(和歌山市の指定13団体の一覧) — 和歌山市(2024-10-02)
- 和歌山の「市堀川夜市」、4月以降も開催を継続 ナイトクルーズも — 和歌山経済新聞(2025-04-25)
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