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住民が決める商店街・市場25万超

商店街の住民が建物の規範を自分たちで作り、35年以上、建て方に口を出し続けた

川越一番街

日本 / 埼玉県 / 川越市

商店街の住民が建物の規範を自分たちで作り、35年以上、建て方に口を出し続けた
© 川越町並み委員会 — この写真が載っている記事

1987年の発足から、記録は2025年まで続く。1992年の論文は委員会の役割と限界を、2009年の論文は歴史的環境の変容を扱い、2025年の論文は観光地化に老舗商店がどう対応したかを類型に分けている。

何をしたか

埼玉県川越市の一番街で、住民が自分たちの手で建物の建て方の規範を作り、それを運用し続けた。川越市によれば、川越町並み委員会は1987年に発足し、歴史的資産を活かしたまちづくりのルールとなる「町づくり規範」を1988年に策定した。以後この委員会は、住民による自主的なまちづくりの協議機関として、建築行為等に対する助言・提案を行っている。 委員会の活動区域は、川越市川越伝統的建造物群保存地区である。規範を持っているのは行政ではなく住民の側の組織であり、その委員会が持つのは許可ではなく助言・提案である。 伝建地区がいつ選定されたかは、今回の出典には書かれていない。

誰が始めたか

川越市は、この委員会を「住民による自主的なまちづくりの協議機関」と書いている。市が設けた組織ではない。

その位置づけは、後から制度の側に取り込まれていった。川越市によれば、平成21年に、伝統的建造物群保存地区内にある4自治会(元町1丁目、元町2丁目、幸町、仲町)および川越一番街商業協同組合から、伝建地区の町並み保存に取り組む保存団体として承認された。さらに平成27年3月25日、市は同委員会を都市景観条例に基づく都市景観推進団体に指定している。

自治会と商業協同組合の承認を経て、市の条例上の団体になったという順序が、この2つの記述から読み取れる。ただし川越市はいずれの記述でも主体を「住民による自主的な」とだけ書いており、商店街が起点だとは書いていない。

1999年の都市計画の記事も2002年のガバナンスの記事も、題名に「住民主体のまちづくり」を掲げている。ただし前者は当事者による寄稿である——著者の所属は川越一番街商業組合街並み委員会であり、from_operator: true として申告した。後者は発行者がぎょうせいであるが、書誌に著者・責任表示が無く、誰が書いたかは確認できていない。

いくらかかったか

費用は、今回の出典からは確認できなかった。 funding_scaleunknown_fields に挙げている。

今回の出典は、委員会の活動を制度・受賞・研究の側から記述したもので、規範の運用費用にも、個々の建物の修景費用にも触れていない。

真似するなら最低何が必要か

出典から取り出せるのは4つである。

1. ルールを住民の側が書くこと。 川越市は「町づくり規範」を、歴史的資産を活かしたまちづくりのルールであり、住民による自主的な協議機関が策定したものだと書いている。委員会が持っているのは許可権限ではなく、建築行為等に対する助言・提案である
2. 助言が通らない場合があることを前提に置くこと。 1992年の論文は、委員会が保存に大きく寄与した一方で、助言を受け入れなかった所有者もいたと述べている。同論文は、開発者が提出した計画を確認するという当時の役割にとどめず、役割を広げる必要があると結んでいる。この指摘は発足から5年の時点で出ている
3. ルールを書き換える手続きを持つこと。 川越市によれば、委員会は約5年間の改訂作業の末、2023年に「町づくり規範」を改訂した。35年以上前に作った規範をそのまま運用してきたのではない
4. 行政の制度と接続する口を用意すること。 保存団体としての承認、都市景観推進団体としての指定、そして伝統的建造物群保存地区という枠が、住民側の組織の外側に重なっている

確認できないのは、費用、規範に従わなかった建物が実際にどれだけあったか、そして委員会の構成員がどう選ばれているかである。

今どうなっているか

2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2025年4月25日発行の都市計画論文集の論文である。川越一番街歴史地区を事例に、歴史的地区の保存と観光開発の過程を追い、観光開発に対する老舗商店の対応を3つの型に分けている。

- 扱ってきた商品やサービスを大きく転換しなくても、観光客の来訪目的や消費行動に適合できる店
- 観光客向けに商品やサービスを拡張しやすい店
- 観光客との接点が少なく、観光客向けへの転換が難しい店

同論文は、3つ目の型について、経営上は観光客に依存しないビジネスモデルで生き残りを図っているとし、その背景には観光客向けの店舗に転換したくない店主の意向もあると述べている。店の側の応じ方が分かれたことが、38年後に類型として記述されている。 同論文の抄録は保存と観光開発を並べて記すにとどまり、観光客が町並みの保存によって来たとは書いていない。

委員会そのものは続いている。川越市は2025年1月の掲載で、発足から35年以上経った現在も積極的な活動を続けていると書き、受賞歴として1999年のグッドデザイン賞、2013年のまちづくり功労者国土交通大臣表彰まちづくり功労賞、2017年の地方自治法施行70周年記念総務大臣表彰、2021年の田村明まちづくり賞を挙げている。同じ掲載で、令和6年度ふるさとづくり大賞の団体表彰(総務大臣表彰)を受賞したことが知らされている(受賞の年月は出典に書かれていない)。ただしこれらはいずれも川越市自身または表彰する側の記述であり、第三者による検証ではない。

否定的な報道は、今回探した範囲では見つからなかった。批判的な指摘として確認できたのは、1992年の論文が挙げた「助言を受け入れない所有者がいる」という限界と、2007年の土木学会誌が題名に掲げた「まち並み保存の課題」である。後者は書誌のみを確認しており、本文は読んでいない。

出典

  1. 川越一番街における町づくりと町並み委員会 — 都市計画論文集(日本都市計画学会)(1992-10-25)
  2. 住民主体のまちづくり〜川越における中心市街地活性化 — 都市計画(1999-09-06)
  3. カラーグラビア まちづくり解体新書(9)埼玉県川越市 川越一番街--商業活性化で景観保全 住民主体のまちづくり — ガバナンス(2002-02)
  4. 川越一番街 まち並み保存の課題 — 土木学会誌(2007-06-15)
  5. 川越一番街における歴史的環境の変容に関する研究 — 都市計画論文集(日本都市計画学会)(2009)
  6. きらきら地域人 埼玉県川越市 川越一番街商店街 信念のある商売と新たな挑戦がまちをつくり、人を呼ぶ — 観光とまちづくり(2016)
  7. 都市景観推進団体(川越町並み委員会) — 川越市(2024-11-22)
  8. 川越町並み委員会が令和6年度ふるさとづくり大賞 団体表彰(総務大臣表彰)を受賞しました! — 川越市(2025-01-20)
  9. 歴史的町並み保存地区における老舗商店による観光地化への対応実態に関する研究 — 都市計画論文集(日本都市計画学会)(2025-04-25)

最終確認日 2026-08-19

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