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りんご並木の両側に再開発ビルを建て、上を住宅、下を店舗と福祉にした

飯田まちづくりカンパニー

日本 / 長野県 / 飯田市

りんご並木の両側に再開発ビルを建て、上を住宅、下を店舗と福祉にした
© 中心市街地活性化協議会支援センター(中小企業基盤整備機構) — この写真が載っている記事

開始年は出典から確認できず、記録は2000年から2018年にわたる。2006年の検討会資料は成果と課題を挙げ、2010年の事例紹介は3つの再開発事業と空き店舗の仲介を、2018年の聞き取りはまちづくり組織の呼び込みを扱っている。

何をしたか

長野県飯田市の中心市街地「丘の上」で、株式会社飯田まちづくりカンパニーが再開発事業を連ねた。飯田市が環境省の検討会に出した資料によれば、同社は特定会社で、基本計画提出日は平成11年6月25日、基本構想認定年月日は平成11年8月3日である。中小企業基盤整備機構の2010年の事例紹介によれば、橋南第一地区・橋南第二地区・堀端地区の3つの事業を連ねた。このうち橋南第一地区と堀端地区は、下層に店舗と福祉、上層に住宅を置く積み方になっている。同機構は、これをまちなかの居住人口を増やす事業の代表例として全国に紹介されたものだと書いている。建てるだけでなく、りんご並木周辺の空き店舗を民間事業者に仲介する仕事も同社が担った。

誰が始めたか

出資者は商業者、企業、市民有志、行政、金融機関、商工会議所である(中小企業基盤整備機構・2010年)。片方だけではない。同機構は会社概要として設立を平成10年8月、資本金を2億1,200万円、専従社員を5名と記している。飯田市が環境省の検討会に出した資料(平成18年)では、職員数は専任4人・非常勤兼務2人と書かれており、この2つの出典で人数が食い違う。掲載時点が違うため、どちらかが誤りとは書けない。

同資料は組織図も載せている。飯田市産業経済部の市街地整備推進室と商業観光課、飯田商工会議所の中心市街地活性化委員会、中心商店街連合会、NPO法人いいだ応援ネットイデアが、同社のTMO事務局と並んで置かれている。会社の中に行政と商工会議所の窓口が組み込まれている形である。

2000年のSERI monthlyの記事は、この会社を「市民有志が主体となったTMO」として題名に掲げている。設立の主体をどう見るかは、出典によって重心が違う。

いくらかかったか

再開発事業の事業費は、今回の出典からは確認できなかった。 funding_scaleunknown_fields に挙げている。

分かるのは会社の規模だけである。中小企業基盤整備機構は資本金を2億1,200万円と書いている。事業年度は、橋南第一地区が平成9年度から平成13年度、橋南第二地区が平成11年から平成18年度、堀端地区が平成16年から平成19年である(同機構・2010年)。10年以上にわたって事業が重なっているが、それぞれにいくらかかったかは書かれていない。

真似するなら最低何が必要か

出典から取り出せるのは5つである。

1. 一棟で終わらせず、通りの両側に続けること。 中小企業基盤整備機構は、第一地区の再開発に続いて通りを挟んで反対側で第二の事業を進め、隣接するりんご並木の資源を生かしながらエリア全体を高める形にしたと書いている。同機構は、事業が単独で行われてエリアとしての再生に至らない地域が多いことを、この記述の前に置いている
2. 建物の中を用途で積み分けること。 橋南第一地区は1階がスーパーマーケットほか店舗、2・3階が福祉事務所・子供サロン・市民サロン・歯科医院、4〜10階が住居である。堀端地区は1階が専門店とオフィス、2階が健康・医療・福祉のサービス、3階がケア付き高齢者賃貸住宅、4・5階が権利者住宅と分譲住宅になっている
3. 建てたあとに空き店舗を仲介する係を置くこと。 りんご並木ストリートマネジメントとして、同社が主体となり空き店舗等を民間事業者とマッチングしている。再開発だけでは通りは埋まらないという前提で仕事が組まれている
4. 行政と商工会議所を組織図の中に入れること。 前節の組織図がそれにあたる。同機構は、中心市街地の事業はまちづくり会社の資金力や組織力から見て単独では負いきれないリスクがあり、行政による事業計画上の位置づけと支援・連携が重要になると書いている
5. 担い手を呼び込む係を別に立てること。 2018年の聞き取りで挙げられている点は、事務局や運営補助という黒子役、人材・組織を呼び込む環境づくり、成功体験の蓄積、組織間の協働の4つである

確認できないのは、事業費、権利者との合意形成にかかった年数、そして住宅がどれだけ埋まったかである。戸数として出典に書かれているのは橋南第二地区の都市型分譲住宅29戸だけで、他の棟の戸数も入居率も書かれていない。

今どうなっているか

2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2018年10月10日の中小企業基盤整備機構による聞き取りである。同機構は、飯田市ではまちづくりの担い手や市民団体を呼び込み、主体的に関わって成功体験を得た者が新たな取り組みや組織の立ち上げに向かう姿が見られると書いている。聞き取りに答えているのは同社の代表取締役専務の三石秀樹氏であり、事業を進めた当事者の説明である。

会社の側が挙げた課題も残っている。飯田市が環境省の検討会に出した資料(平成18年)は、成果として居住人口と交流人口の増加、民間事業の誘発、面的な管理・運営のノウハウの蓄積を挙げる一方、課題として「物販から健康・医療を中心としたサービス業へ」という方向転換と、点から線・面への拡大を挙げている。これは飯田市自身の記述であって、第三者の評価ではない。

まちの人口そのものは別に動いている。飯田市によれば、令和8年7月末現在の人口は92,847人、世帯数は40,558である。環境省の検討会資料が載せた飯田市の居住人口は平成17年で107,593人、中心市街地の居住人口は同じく平成17年で10,270人だった。中心市街地の居住人口が現在どうなっているかは、今回の出典からは確認できなかった。

否定的な報道は、今回探した範囲では見つからなかった。ただし飯田市域の地方紙である信濃毎日新聞と南信州新聞は robots.txt が Claude の取得を拒否しているため、報道による検証は行えていない。 今回の出典は公文書・公的機関の事例紹介と、書誌のみを確認した学術記事である。

出典

  1. タウンマネージメント会社 ㈱飯田まちづくりカンパニーの取り組み(第9回地球温暖化対策とまちづくりに関する検討会 資料2・飯田市産業経済部市街地整備推進室 提出) — 環境省(2006-12-27)
  2. 飯田市におけるエリアマネジメントへの取り組みとまちづくり会社の活動 — 中心市街地活性化協議会支援センター(中小企業基盤整備機構)(2010-09-03)
  3. 主体的に活動するまちづくりプレーヤーや組織を呼び込む環境作り(長野県飯田市) — 中心市街地活性化協議会支援センター(中小企業基盤整備機構)(2018-10-10)
  4. まちづくり最前線--TMOは今(4)飯田市:(株)飯田まちづくりカンパニー 市民有志が主体となったTMOが市街地の再開発事業を実施 — SERI monthly(2000-12)
  5. 地方都市のサスティナブル・デベロップメント--飯田まちづくりカンパニー — 造景(2002)
  6. TMOによる誘発的連鎖の基幹事業としての再開発--株式会社飯田まちづくりカンパニーの取り組み — 再開発研究(2004)
  7. 紹介 (株)飯田まちづくりカンパニー--まちなか居住とにぎわいづくりを公・民連携の力で呼び戻す — 国土交通(2006-08)
  8. 都市再生へのマネジメント--(株)飯田まちづくりカンパニーの取り組みを中心に — 区画整理(2008-10)
  9. 「株式会社」で生まれるまちづくりのスピード--ハードをも手がける会社組織 飯田まちづくりカンパニー — Venture link(2009-10)
  10. 飯田市中心部における再開発の社会特性 — 東洋大学社会学部紀要(2013-03)
  11. 飯田まちづくりカンパニーによる空店舗活用 : 「並木横丁いこいこ」について — 新都市(2018-03)

最終確認日 2026-08-19

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