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住む人を増やす・戻す商店街・市場25万超

壊滅した商店街を市が買い上げ、44棟の再開発ビルに建て替えるのに30年近くかけている

新長田駅南地区

日本 / 兵庫県 / 神戸市長田区

壊滅した商店街を市が買い上げ、44棟の再開発ビルに建て替えるのに30年近くかけている
© 神戸新聞 — この写真が載っている記事

1995年3月に都市計画決定され、2003年と2006年の論文が商業床の空きと入居者の実態を調べた。2020年12月の神戸市の検証報告書は収支見込みを赤字326億円とし、商業のにぎわいに課題が残るとした。2024年10月の記事は、最後の1棟の完成見通しが立ち、事業が10月末で完了すると伝えている。

何をしたか

阪神・淡路大震災で壊滅した神戸市長田区の商店街一帯を、市が用地ごと買い上げて再開発ビルに建て替えた。神戸新聞によれば、新長田駅南地区は1995年1月17日の震災から2か月後の同年3月に都市計画決定されている。計画は再開発ビル計44棟。市が土地を買い上げ、商業床を分譲する形をとった。同紙は2024年10月12日の記事で、この事業が10月末で完了すると伝えている。 最後の1棟となっていた教育複合ビルの完成見通しが立ったためで、これをもって行政主導の被災地の復興まちづくり事業が、震災発生から30年近くをへてすべて終わることになったと書いている。完了したことを確認した出典には到達できていない。 区画整理は神戸・芦屋・西宮・尼崎・淡路の計20地区で行われ2011年に完了しており、再開発は6地区のうちここが最後だった。

誰が始めたか

事業主体は神戸市である。震災から2か月という速さで都市計画が決定されたことは、この事業の性格をよく表している。住民の側が構想を練って持ち込んだものではなく、行政が短期間で線を引いた事業であり、その後30年にわたる論点はほぼすべてこの初期条件から派生している。

2020年の検証も市が行っている。兵庫県立大大学院の教授を座長とする検証の場が4回開かれ、報告書がまとめられた。

いくらかかったか

事業完了時点の収支見込みは赤字326億円(2020年12月・神戸市検証報告書)。加えて181億円分の商業床が未売却のまま賃貸されており、神戸新聞は赤字幅がさらに広がる可能性があると書いている。

赤字の理由として報告書が挙げているのは2つである。ひとつは、再開発ビルの商業床に入居した権利者が約半数にとどまったこと。もうひとつは、商業施設を3層構造にしたために地下1階と地上2階の処分が進まなかったことである。地価の大幅な下落も収益の悪化に働いた。

久元喜造市長は、計画段階との乖離は大規模な震災復興事業では避けられないとし、地価の下落が続きデフレとの戦いだったと述べている(同)。

真似するなら最低何が必要か

この事例から取り出せるのは、成功の手順ではなく避けるべき条件である。

1. 時間の制約を疑うこと。 震災から2か月で都市計画を決めた速さは、被災者の生活再建には要る。しかし商業床の需要見込みまで同じ速さで固めてよいかは別である
2. 床を積み上げないこと。 3層構造にした商業施設の地下1階と地上2階が売れ残った。人が自然に歩く高さは限られるという当たり前のことが、30年分の赤字として現れている
3. 権利者が本当に戻るかを先に確かめること。 入居したのは権利者の約半数だった。残り半分の床は最初から埋まる当てがないまま作られたことになる
4. 地価上昇を前提にしないこと。 床を売って費用を回収する設計は、地価が下がると成立しない
5. 身の丈に合わせること。 神戸新聞は2025年3月11日の社説で、東日本大震災の被災地の市街地整備を論じるなかで「30年前、神戸・新長田の復興再開発事業を思い起こす」と書き、求められるのは地域の身の丈に合ったまちづくりだろうと述べている。この社説の主題は岩手・宮城の被災地であり、新長田への言及はこの一文にとどまる

確認できないのは、44棟それぞれの現在の入居状況と、商業床の最終的な処分結果である。

今どうなっているか

2026年8月時点で、この事業の完了を確認した出典には到達できていない。 新長田の事業そのものを扱った最も新しい記録は2024年10月12日の神戸新聞の記事で、同記事は事業が10月末で完了すると、その時点での見通しとして伝えている。完了したかどうかを確かめられないため、status_current判定不能 とし、end_year とあわせて unknown_fields に申告した。2025年3月11日の同紙の社説はこれより新しいが、主題は東日本大震災から14年の岩手・宮城の被災地であり、新長田への言及は30年前の事業を引き合いに出す一文にとどまる。

評価は一方向ではない。2020年の市の検証報告書は、被災者の早期の生活再建や災害に強いまちづくりという事業目的はおおむね達成できたとしたうえで、商店街としてのにぎわいには課題が残ると書いている。久元市長は、夜間人口が震災前の約1.4倍に増えたことを挙げ、それを踏まえた新しいコミュニティーづくりを目指す方針を示した。人は戻り、商いは戻りきらなかったというのが、出典から読み取れる形である。

学術の側では2003年と2006年に、商業床の空きと入居者の実態を調べた論文が日本建築学会から出ている。問題は完成前から指摘されていたことになる。

なお2024年10月12日の記事は途中から有料である。有料部分は読んでおらず、ここに書いたのは無料で読める範囲に限られる。

出典

  1. 商業機能からみた新長田駅南地区・大規模復興再開発事業に関する研究 — 日本建築学会計画系論文集(2003-02-28)
  2. 震災復興再開発地区における事業実態と入居者の属性・意識 : 新長田駅南地区を事例として — 日本建築学会計画系論文集(2006-01-30)
  3. 新長田再開発事業「商業にぎわいに課題」 神戸市が検証報告書 — 神戸新聞(2020-12-23)
  4. 阪神・淡路大震災30年、復興まちづくり全て完了へ 新長田、最後の再開発ビルが10月末で完成 — 神戸新聞(2024-10-12)
  5. <社説>復興事業のあと/地域再生を息長く支援したい — 神戸新聞(2025-03-11)

最終確認日 2026-08-17

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