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歩けるようにする交通・道路・駅25万超

車を地下に落として出てきた幅13mの歩道を運営に回した

新虎通り

日本 / 東京都 / 港区(新橋〜虎ノ門)

車を地下に落として出てきた幅13mの歩道を運営に回した
© 日本経済新聞 — この写真が載っている記事

2014年3月の開通後、2019年に国家戦略道路占用事業に認定され、2022年に社会実験を経て、2023年3月17日に都内で初めてほこみちの利便増進誘導区域に指定された。同年4月と6月にマルシェが開かれた。

何をしたか

東京都港区の新橋と虎ノ門を結ぶ、延長約1.4kmの地上部道路。環状第2号線の自動車交通を地下の築地虎ノ門トンネルに通したため、地上に必要な車道は2車線で済み、その左右にそれぞれ幅13mの歩道が取れた(道路全体の幅は約40m)。2014年3月に開通し、同年6月11日の虎ノ門ヒルズ開業に合わせて、東京都の「東京シャンゼリゼプロジェクト」の第1号として歩道上にオープンカフェ2店舗が置かれた。以後、森ビル・都市再生機構・東京都道路整備保全公社が事務局を務める一般社団法人新虎通りエリアマネジメントが、道路占用許可の特例を使って歩道空間を運営している。2019年4月17日に国家戦略道路占用事業の認定を受け、2023年3月17日には都内で初めて歩行者利便増進道路(ほこみち)の利便増進誘導区域に指定された。

誰が始めたか

この事業の前史は半世紀ある。 日本経済新聞2014年9月12日によれば、環状第2号線の整備は1946年に都市計画決定されたが、都心の商業地としての価値が高く、地元にとどまることを希望する地権者が多かったため用地買収や移転の交渉が難航し、虎ノ門〜新橋間は半世紀近く凍結状態となっていた。

先に動いたのは制度である。 同記事によれば、転機は1989年で、道路の上下に建物の建設を認める「立体道路制度」が創設された。この制度を使って、地上に計画していた環状第2号線をトンネル化するよう1998年に都市計画変更を行ない、道路の真上に虎ノ門ヒルズを建てて地権者などを受け入れられるようにしたことで合意形成が進んだ。

次に路上を使う側の制度が緩んだ。 同記事によれば、公共の空間である路上にテーブルや椅子を並べる行為は通常許されず、占用許可は「道路の敷地以外に余地がない」場合に限られていた。2011年10月に都市再生特別措置法などが改正され、広告塔・食事施設・購買施設・休憩所・レンタサイクル施設など街のにぎわいに必要な施設に限ってこの条件が緩和された。

都が制度を使いやすくしたのは2014年3月である。 同記事によれば、東京都が同月に創設した「東京シャンゼリゼプロジェクト」は、都が管理する道路を対象に道路占用の特例をさらに使いやすくしたもので、地元の町会や商店街振興組合などで構成するエリアマネジメント団体が都に申請し、路上に設置する施設の管理を担うことを条件に、占用許可の手続きをワンストップにした。 従来は自治体や警察などとの個別の手続きが必要で、申請から実施までに長い時間を要していたという。同記事は、このプロジェクトが「都内にパリのシャンゼリゼのような通りをつくりたい」と舛添要一都知事が表明したことで実現したと書いている。

地元の団体は同じ2014年3月に立った。 LIFULL HOME'S PRESS 2023年7月7日によれば、新虎通りエリアマネジメントは2014年3月に発足し、清掃活動・オープンカフェの誘致・エリアビジョンの作成に取り組んできた。日本経済新聞は、沿道の地権者などが「新虎通りエリアマネジメント協議会」を設立して占用の申請手続きとオープンカフェの管理を手掛けると書いている。

区は先に別のルールを作っていた。 同記事によれば、港区は2012年3月に地元の町会などと協議して「環状2号線周辺地区まちづくりガイドライン」(対象は約85ヘクタール・6エリア)を定め、さらに東京都が2003年10月に施行した「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」を使って沿道の約8.4ヘクタールを対象区域に指定した。

行政の側があとから加わって形が変わっている。 LIFULL HOME'S PRESS によれば、2023年のマルシェの主催は港区芝地区総合支所と一般社団法人新虎通りエリアマネジメントで組織する「新虎通りエリアプラットフォーム協議会」である。つまり順序は、都市計画(1946年)→ 立体道路制度(1989年)→ 都市計画変更(1998年)→ 法改正(2011年)→ 都の制度と地元団体(2014年3月)→ 区の支所が入った協議会(2023年)、である。

いくらかかったか

事業費は確認できなかった。 4本の出典のいずれにも、道路の整備費、歩道空間の運営費、エリアマネジメント団体の収支が書かれていない。書けるのは、費用を現金ではなく別のもので払う仕組みになっているという点である。

- 沿道の建て替えは容積率で誘導している。 日本経済新聞2014年9月12日によれば、しゃれ街条例にもとづく街並み再生方針は7つの「必須項目」(1階へのにぎわい施設の導入、新虎通りに面した自動車の出入り口の制限、地区内ネットワーク道路沿いの歩道状空地、壁面位置の制限、建物高さの最高限度80m、一定の風俗営業の制限、最低敷地面積250m²)と6つの「選択項目」を定め、選択項目に多く取り組むほど容積率の割り増しを受けられる。 最高限度は敷地の規模や接道条件によって750%から1000%の範囲である
- 運営の側は、人手と管理責任が対価になっている。 東京シャンゼリゼプロジェクトのワンストップ化は、エリアマネジメント団体が申請と施設の管理を担うことを条件にしている
- 置かれた物は小さい。 同記事によれば、2014年6月の2か所のオープンカフェはそれぞれテーブルと椅子を5台ほど並べた小規模なもので、同記事はこれを都市再生の起爆剤と位置づけている
- 周辺では都有地の貸し付けという形が使われている。 同記事によれば、2004年に廃校となった都立港工業高校の跡地(約5,400m²)について、東京都が2013年に都有地の貸し付けによる医療インフラの整備・運営を行なう事業者を公募し、学校法人慈恵大学が50年間の定期借地権設定契約を結んだ。貸付料は年額約7,500万円である。 これは新虎通りそのものの費用ではないが、同じガイドラインの区域内で使われた資金の形である

funding_scaleunknown_fields のままとした。道路の整備費も歩道空間の運営費も出典に無いためである。

真似するなら最低何が必要か

1. 車を落とす先があること。 自動車の多くが地下の築地虎ノ門トンネルを走るため、地上に必要な車道は2車線で済み、その結果として車道の左右にそれぞれ幅13mの歩道が取れた(日本経済新聞2014年9月12日)。歩道の広さは設計の目標ではなく、交通を地下に移した結果である
2. その構造を可能にする制度。 1989年に創設された立体道路制度と、1998年の都市計画変更。道路の真上に建物を建てられるようにしたことが、地権者の合意形成の条件になっている
3. 路上に物を置ける法制度の積み重ね。 2011年10月の都市再生特別措置法などの改正(にぎわい施設に限って占用の条件を緩和)→ 2014年3月の東京シャンゼリゼプロジェクト(都道でワンストップ化)→ 2020年に創設されたほこみち制度(LIFULL HOME'S PRESS 2023年7月7日)。制度は1つでは足りていない
4. 申請と管理を引き受ける地元の団体。 占用の特例は、団体が申請し、置いた物の管理を担うことを条件にしている。新虎通りでは2014年3月発足の一般社団法人がこれを担い、2023年時点では区の総合支所と組んだ協議会になっている
5. 沿道の建て替えを揃えるルールを、通りを開ける前に用意すること。 日本経済新聞によれば、新虎通りは敷地面積100m²未満の中小ビルが多く集まる地域を貫通しており、それまでビルの裏口だった部分が通りに面している状態で、沿道の建物の約6割が築30年以上だった。ルールがないまま個別に建て替えが進むと統一感のない景観になる恐れがあったため、区はしゃれ街条例を使っている
6. 指定の前に社会実験を通すこと。 日経BP 2023年3月22日によれば、ほこみち指定に向けて2022年に実証実験を行ない、キッチンカーの出店、ベンチなどストリートファニチャーの設置、路面を画布に見立てた花びらのアート「インフィオラータ」、読み聞かせやニュースポーツ体験の「道の楽校」を実施した

確認できないものは、道路の整備費と歩道空間の運営費、エリアマネジメント団体の収支・人員・会費の仕組み、オープンカフェの占用料と賃料、マルシェの費用と来場者数、容積率の割り増しを実際に受けた開発の件数、2023年秋以降のマルシェの開催状況である。

今どうなっているか

2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2023年7月7日の LIFULL HOME'S PRESS の記事である。最新の出典が3年前であり、それ以降の状況は確認できていない。

2023年に指定と運用が始まっている。 東京都建設局の発表によれば、歩行者利便増進道路の指定日は令和4年10月28日、利便増進誘導区域の指定日(予定)は令和5年3月17日で、占用者(予定)は一般社団法人新虎通りエリアマネジメントである。日経BP 2023年3月22日は、3月17日に都内で初めて利便増進誘導区域に指定されたと報じている。

イベントは2023年に2回開かれた。 LIFULL HOME'S PRESS によれば、第1回の「新虎ストリートマルシェ」は4月27〜29日、第2回は6月1・2・4日(11時〜14時、4日のみ16時まで)に開かれた。移動販売車やキッチンカーが並び、コーヒー・オムライス・ハンバーガー・カレー・パスタ・タコライス・かき氷・クレープの店に加え、お香の販売ワゴンや、新虎通りの近くで創業した永谷園の無料サンプル配布車も出た。4日には親子で遊べる場、寄せ植えや文具のワークショップも置かれた。同記事は、次回は秋ごろに3回目の開催を目指して準備中だと書いている(2023年7月時点)。

制度は全国に広がっている。 同記事によれば、2023年3月31日時点でほこみちを指定した道路管理者(地方公共団体・地方整備局)は40、指定された路線は109か所である。2022年11月11日には大阪市で「ほこみちインスパイアフォーラム」が開かれた。

当事者の見立ても記録しておく。 同記事は、新虎通りエリアマネジメント事務局の海藤早希子氏が、今後も近隣の人たちを中心に愛されるイベントにしていきたいと述べたと伝えている。

出典の性格について明記しておく。

- 東京都建設局の1本は、指定を行なった道路管理者自身の発表であり、from_operator: true として扱った。 同発表は本件を「『未来の東京』戦略」を推進する事業と位置づけており、東京都はこの事業の当事者の側にある(事務局には東京都道路整備保全公社が入っている)。占用者・主催はいずれも一般社団法人新虎通りエリアマネジメントであって建設局ではないが、当事者の側の発信として数えないほうを選んだ。 これを除いた独立した一次報道は日経・日経BP・LIFULL HOME'S PRESS の3本である
- 日本経済新聞の記事は末尾に有料会員の案内が置かれている。 本文は取得できた範囲で通読しているが、この媒体は購読制であり、ここに書いたのは取得できた本文に限られる。 同記事は末尾に「ケンプラッツ2014年8月21日付記事を基に再構成」と記している
- 日経BP の記事には出典の記述の不整合がある。 同記事(2023年3月22日)は新虎通りを「2023年12月に全面開通した環状2号線のうち」の地上部道路と書いており、掲載日より後の日付である。 環状第2号線の全面開通の時期は、この出典からは確定できない
- 日経・日経BP のドメインは Claude による取得を robots.txt で拒否している。 本文は以前に取得したものを使っている(再取得はしていない)
- LIFULL HOME'S PRESS の記事は住宅・建築ライター渡辺圭彦氏の署名記事で、PR・Sponsored の表示は見当たらない
- この事業についての否定的な報道は、今回探した範囲では見つからなかった。

出典

  1. 「オヤジの街」にシャンゼリゼ通りは出現するか — 日本経済新聞(2014-09-12)
  2. 歩行者利便増進道路(ほこみち)制度を活用した取組を進めます! 都内初、環状第2号線(新橋・虎ノ門間)で展開 — 東京都建設局(2023-03-16)
  3. 環状2号線地上部「新虎通り」、都内初の「ほこみち」指定 — 日経BP 新・公民連携最前線(2023-03-22)
  4. 新虎通りで「新虎ストリートマルシェ」開催。「ほこみち」制度で新たなにぎわいが生まれる — LIFULL HOME'S PRESS(2023-07-07)

最終確認日 2026-08-17

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