観光コンサルタント会社が国境沿いの村に三部屋の宿を開き、地元での仕入れ・雇用の徹底で観光収入の7割強を村に残す仕組みを作った
Baraka Destinations
2019年時点でBaraka代表は、地元での仕入れ・雇用によって観光収入の73%が村内に残り、住民約130人・30家族の収入が地域平均より44%高いと述べた。
何をしたか
アンマンを拠点にするサステナブル・ツーリズム企業Baraka Destinationsが、ヨルダン北部の国境沿いの村ウム・カイスで、2015年に地域密着型の観光プロジェクトを始めた。2017年には、村内に三部屋のこぢんまりとした宿「Beit Al Baraka」が開いた。Anadolu通信(2019年)によれば、代表のムナ・ハダッド氏は、地域社会にお金が残るよう、できる限り地元で雇用・仕入れをする方針だと述べ、この結果、観光収入の73%が村内に残っている(一般的な地域密着型観光では16%程度だという)と説明した。
誰が始めたか
Anadolu通信(2019年12月24日)によれば、Barakaはアンマンを拠点にサステナブル・ツーリズムを専門とするコンサルティング会社で、代表は社会起業家のムナ・ハダッド氏である。 ハダッド氏は、数多くの観光開発プロジェクトを手がける中で、支援機関から少額の投資を受けても成果を出せずにいる地域コミュニティを数多く見てきたという。同紙によれば、ヨルダンの観光で語られる物語は古代文明の遺跡が中心で今を生きる住民のことは語られてこなかったとハダッド氏は述べ、2015年に始めたこのプロジェクトは、その物語と住民との間を架け橋することを目指したという。
Arab News(2017年9月13日、記者Olivia Cuthbert)によれば、宿泊施設Beit Al Barakaを手がけているのは、サステナブル・ツーリズムの会社Barakaである(同紙は「Baraka Destinations」という表記は用いていない)。 同紙の取材時点で、Beit Al Barakaのロッジマネージャーはロディ・ボイル氏で、村での生活を1年経験していた。代表のムナ・ハダッド氏は同紙に対し、観光体験のクラスターを作ることで、ウム・カイスでの滞在時間を平均2時間から2日に伸ばすことができたと述べている。
Adventure.com(2018年6月18日、寄稿記者Lola Akinmade Åkerström)は、Beit Al Barakaを「三部屋のこぢんまりとした宿」と表現し、2017年にアンマン拠点のBaraka Destinationsによって始まった持続可能な観光プロジェクトだと報じた。 同記事によれば、Barakaのプロジェクトが掲げる主眼は自立性であり、住民が身の回りにある資源で生計を立てられるようにすることにあるという。
いくらかかったか
プロジェクト全体の投資額や、Beit Al Barakaの開業にかかった費用そのものは、今回参照した3本のいずれにも書かれていない。 分かるのは、個別の支援額が1件だけである。
Anadolu通信(2019年)によれば、幼い頃から植物を育ててきた村の女性住民の一人は、プロジェクトを通じて3,500米ドルの助成を受け、より大きな温室を建てて栽培の専門家から指導を受けたという。 この住民は同じ資金で観光客向けの「種の玉(シードボム)」作り体験なども始めたと同紙は伝えている。
収益の配分については、Anadolu通信が具体的な数字を伝えている。 同紙によれば、Baraka代表のハダッド氏は地元での雇用・仕入れを徹底する方針だと述べ、この結果、観光収入の73%が村内に残っていると説明した。同紙は、一般的な地域密着型観光モデルでは16%程度しか地元に還元されないとしている。
真似するなら最低何が必要か
出典から取り出せるのは5つである。
1. 地元での仕入れ・雇用を明確な方針にすること。 ハダッド氏は、地域社会にお金が残るよう、できる限り地元で雇用し仕入れる方針だと述べている(Anadolu通信、2019年)
2. 宿泊できる拠点を村内に持つこと。 ハダッド氏は2017年にArab Newsに対し、観光体験のクラスターを作ることでウム・カイスでの滞在時間を平均2時間から2日に伸ばすことができたと述べており、2019年にはAnadolu通信に対し、地域社会と組んで観光の商品と体験を提供しているのは、ウム・カイスに最大3日滞在してもらうためだと説明している
3. 住民が元々持つ技能を、観光客向けの体験や商品に変える伴走をすること。 長年の養蜂経験を持つ住民や、籠編みの技術を持つ住民が、プロジェクトを通じて観光客向けの体験や商品販売につなげた(Adventure.com 2018年/Anadolu通信 2019年)
4. 接客に必要な訓練を継続的に提供すること。 村で生まれ育ちガイドを務める住民の一人は、プロジェクトの訓練を通じて、それまで知らなかった観光客への接し方を学んだと述べている(Anadolu通信、2019年)
5. 小口の助成金で個人の事業化を後押しすること。 植物を育ててきた住民の一人は3,500ドルの助成を受けて温室を拡張したという(Anadolu通信、2019年)
確認できないのは、プロジェクト全体の投資額、Beit Al Barakaの開業にかかった費用、そして2019年より後の状況である。
今どうなっているか
2019年12月時点で確認できる最も新しい記録は、Anadolu通信の記事である。 同記事によれば、Baraka代表のムナ・ハダッド氏は、地元での仕入れ・雇用を徹底する方針により観光収入の73%が村内に残っていると述べ、約130人・30家族が村でこのプロジェクトに関わって働いており、住民の収入は地域平均より44%高いと説明した。
プロジェクト開始当初から関わってきた住民も、活動を続けている。 同紙によれば、ガイドを務める住民や、20年来の養蜂を続けてきた住民は、いずれもプロジェクトの初期から関わり、訓練を通じて技能を広げながら仕事を続けているという。
否定的な報道は、今回の調査では見つからなかった。
2019年より後、掲載日を特定できる独立した報道は、今回の調査では見つかっていない。 そのため、それ以降にこのプロジェクトがどうなったかは確認できていない。
出典
- Jordan attracts tourists with the promise of adventure | Arab News — Arab News(2017-09-13)
- Hiking borderlands and finding community on the Jordan Trail | Adventure.com — Adventure.com(2018-06-18)
- Community-driven tourism leads Jordanian village out of poverty — Anadolu Agency (AA)(2019-12-24)
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