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お金を地域で回す文化・アート・祭り25万超

2012年に占拠した映画館から生まれた協会が、別の廃業映画館の運営権を公募で得て、公的助成を主体に自己資金・寄付も組み合わせて改修した

Piccolo America

イタリア / ラツィオ州 / ローマ市

2012年に占拠した映画館から生まれた協会が、別の廃業映画館の運営権を公募で得て、公的助成を主体に自己資金・寄付も組み合わせて改修した
© Artribune — この写真が載っている記事

2012年の占拠から始まり、2021年にCinema Troisiが再開した。2026年には野外上映事業に市・州から計55万ユーロが公募を経ずに交付された。

何をしたか

イタリア・ローマのトラステヴェレ地区で、2012年に閉館した映画館Cinema Americaを占拠した若者グループが、協会(Piccolo America)をつくった。2016年に別の廃業映画館(旧Cinema Induno)の運営を公募で得て、市民からの寄付と公的な助成・税制優遇を組み合わせて改修資金を集め、2021年にCinema Troisiとして再開した。

誰が始めたか

2012年の占拠は、閉館した映画館Cinema Americaの解体に反対する若者グループによって始まった。Il Fatto Quotidiano(2018年2月12日)は、この占拠から「地区の映画文化の再発見を進める協会」が生まれたと書いている。Il Post(2026年7月27日)によれば、2012年の占拠は、映画館が駐車場に転換されるのを防ぐことを目的としていた。

中心人物として繰り返し名前が挙がるのがValerio Carocci氏である。RB Casting(2017年5月18日)は、Cinema Troisi(旧Cinema Induno)が公募を通じて「協会Piccolo Cinema America」に割り当てられた物件であると説明したうえで、同氏を「その被割当(assegnataria)協会の会長」として紹介している("assegnataria"は公募で割り当てを受けたことを示す形容語であり、協会の名称そのものではない)。DIRE(2021年9月20日)も同氏を「協会Piccolo Cinema Americaの会長」と紹介している。Il Post(2026年7月27日)は同氏を「Fondazione Piccolo America(財団)の創設者・会長、34歳」と紹介しており、財団としての名称は後年のものとみられる。2016年、協会は公募(bando)を通じて、廃業していたCinema Indunoの運営権を得た(Il Post、同記事)。

いくらかかったか

Cinema Troisiの改修費について、RB Casting(2017年5月18日)は、協会代表のValerio Carocci氏の説明として、必要な投資額を約40万ユーロと見積もり、そのうち12万ユーロは活動開始から2年間ですでに集まっていたと伝えている。残る12万ユーロについては、市民や公的・民間の機関、文化・映画関係者に募金(cinematroisi.itを通じた寄付)を呼びかけるとし、少なくとも40%は税額控除、またはMiBACT(現・文化省)の選抜助成でまかなえるよう働きかけるとしていた(いずれも同記事でのCarocci氏の発言)。

改修が完了した2021年9月20日時点の最終的な内訳は、DIRE(2021年9月20日)が具体的に報じている。総額150万ユーロのうち、文化省(Piano straordinario per il potenziamento del circuito delle sale cinematografiche e polifunzionali)が104万1000ユーロ、ラツィオ州(Lazio Innovaの公募を通じて)が10万ユーロ、BNL BNPパリバとのスポンサー契約が10万ユーロを負担し、残る28万5446ユーロが協会の自己資金と寄付から出たと同記事は書いている。つまり最終的な資金構成は、市民からの寄付だけでなく協会の自己資金も含めた28万5446ユーロ(総額の約19%)を除き、大部分(約81%)が国・州・企業スポンサーという公的・民間法人の資金でまかなわれた。2017年時点の見積もりと比べ、国からの助成が計画時の想定(総額の40%程度)を大きく上回る規模(総額の約69%)になったことになる。

一方、Cinema Troisiとは別に、毎年恒例の無料野外上映会「Cinema in Piazza」については、Il Fatto Quotidiano(2018年2月12日)が、2017年に8万人の観客を集めたと伝え、当時は市の直接決定(公募を経ない)でピアッツァ・サン・コジマートの使用が認められていたと書いている。同記事によれば、2017年末に副市長Luca Bergamo氏が、これを2018年のエスターテ・ロマーナの公募(bando)に組み入れる方針を発表し、協会側との対立が生じた。Il Post(2026年7月27日)によれば、2026年春には、この野外上映会のためにローマ市から25万ユーロ、ラツィオ州から30万ユーロ、合計55万ユーロが、公募を経ない直接助成の形で交付された。同記事は、これが同年の分野全体の予算85万ユーロの大半を占め、通常の市のイベント助成が数万ユーロ規模であるのと比べて突出した金額だと書いている。

真似するなら最低何が必要か

改修費用を寄付だけでまかなおうとしていない点が特徴である。RB Casting(2017年5月18日)が伝えるCarocci氏の説明では、必要額の一部(見積もり12万ユーロ)はすでに2年間の活動を通じて集まっていたとしつつ、残りは市民への募金の呼びかけに加え、税額控除や国の選抜助成(MiBACT)を組み合わせる計画だったとしている。寄付・税制優遇・選抜助成という複数の財源を同時に狙う設計である。

物件の確保は、自治体が公募する運営権の入札(bando)を通じて行われた。Il Post(2026年7月27日)によれば、2016年にPiccolo America協会は旧Cinema Indunoの運営を委ねる公募に勝ち、これをCinema Troisiとして改修した。廃業した映画館・劇場などの遊休不動産を自治体が公募にかけている場合、そこに応募することが出発点になりうる。

無料の野外上映会も、資金と支持基盤の両方を広げる役割を果たしてきた。Il Fatto Quotidiano(2018年2月12日)は、無料の野外上映が2017年に8万人を集め、著名な映画人の支持を得たと伝えている。Il Post(2026年7月27日)は、この無料イベントが2026年には市と州から合計55万ユーロの直接助成を受けるまでになったと書いている。同記事でCarocci氏は、公募を経ない直接助成という仕組みについて「政治は自らの選択に責任を負うべきだと思う」と述べ、この方式を擁護している。

同時に、Il Post(2026年7月27日)は、この公募を経ない直接助成という形式が、他の文化団体には認められない特別扱いだとの批判を招いていることも伝えている。同記事によれば、Piccolo America自身も、他の団体(Festa del CinemaのAlice nella Città部門やVideocittà)が同様に公募を経ない助成を受けていると公然と批判しており、この資金調達の形が地域の文化予算全体の公平性をめぐる論点になっていると書いている。真似する場合、複数の財源を組み合わせる自由度と引き換えに、こうした公平性をめぐる論争に巻き込まれうることも織り込む必要がある。

今どうなっているか

2026年7月27日時点で、Piccolo America(Il Postの表記ではFondazione Piccolo America)は、ローマ市・ラツィオ州・バチカンとの関係を強めながら活動を続けている(Il Post、同記事)。同記事によれば、2026年の野外上映会「Cinema in Piazza」(5月28日〜7月14日)には、Robert De Niro、Jane Campion、Isabella Rosselliniら63人のゲストが参加し、95回の上映で12万人の観客を集めたと運営側は発表している。

同時に、Piccolo Americaは、16年間閉鎖されている旧Cinema Metropolitanを商業施設(延床面積の80%超)に転換する市と州の計画に反対し、地方行政裁判所(TAR)に提訴している(Il Post、同記事)。同記事によれば、この計画は前年秋に州が、今年(2026年)4月に市が承認したが、市の承認に先立つ昨年12月の時点でPiccolo Americaはすでにこの計画を批判し、TARに提訴していた。同記事は、この対立のさなかにPiccolo Americaが公募を経ない形で市・州から計55万ユーロの助成を受けたことが一部で問題視され、Carocci氏は7月3日、助成継続と引き換えにMetropolitan計画への批判を控えるよう当局から圧力を受けたと公の場で述べたと伝えている。Carocci氏はその後、同日表明した独自の統一名簿での市議選出馬構想を撤回した。同記事によれば、これは売り言葉に買い言葉のような、つい出てしまった行き過ぎた発言であり、自分を戒めるべきものだったと振り返っている。

Cinema Troisiについては、Il Post(2025年12月6日)が、ボローニャのCinema Modernissimoとの間で、単館系映画館の年間チケット販売数を競う賞「Biglietto d'oro」の順位づけをめぐる論争が続いていると伝えている。TARの判断がいつ出るか、旧Cinema Metropolitanの扱いがどうなるかは、参照した出典の時点では未確定である。

出典

  1. Roma, in periferia con il Cinema America l'anteprima di Mastandrea - Il Fatto Quotidiano — Il Fatto Quotidiano(2015-11-22)
  2. Al via la raccolta fondi per il Cinema Troisi - RB Casting — RB Casting(2017-05-18)
  3. Roma, niente film all'aperto nell'Estate romana. Lite tra cinema America e giunta sul bando con "censura" - Il Fatto Quotidiano — Il Fatto Quotidiano(2018-02-12)
  4. Riapre a Roma il Cinema Troisi — Artribune(2021-08-24)
  5. A Roma dopo 8 anni riapre il Cinema Troisi - DIRE.it — DIRE(2021-09-20)
  6. È nata una rivalità tra due importanti cinema italiani — Il Post(2025-12-06)
  7. A Roma il Piccolo America è sempre più influente — Il Post(2026-07-27)

最終確認日 2026-08-30

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