閉校になった校舎を住民組織が1ユーロで買い取り、労働奉仕で改修して学校と集会所として使い続けている
Vihtijärven koulu
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2014年と2020年に閉校提案が2度出たがいずれも住民側の運動と議会の否決で残り、2023年時点で児童30人が通っている。
何をしたか
フィンランド・ヴィヒティ市のヴィヒティヤルヴィ集落で、室内空気の問題により2004年に使用禁止となった1925年築の校舎を、住民組織ヴィヒティヤルヴィ村協会(Vihtijärven kyläyhdistys ry)が2007年に自治体から1ユーロで買い取った。住民の労働奉仕(talkoot)で改修し、2009年8月1日に「学校・集落会館(koulu- ja kylätalo)」として開設した(このとき使用開始したのは1階の学校部分)。2階を集落会館として使えるようにする改修は、2010年時点の村計画書によれば当時なお進行中で、2011年4月までの完成を目指すとされていた。以後、自治体が財政上の理由で閉校を提案するたびに、住民側が議会で押し返している。
誰が始めたか
Kuntalehti(2023年4月25日)によれば、ヴィヒティ市は室内空気の問題を理由に2004年に校舎を使用禁止にした。村の計画書「Vihtijärven kyläsuunnitelma 2010」(2010年)によれば、住民組織ヴィヒティヤルヴィ村協会が2007年にこの校舎を自治体から1ユーロで買い取った。Maaseudun Tulevaisuus(2014年11月9日)も同じ買い取りを「名目価格で」と伝えている。村協会は借入と労働奉仕によって改修を進めた。
同計画書によれば、改修は村協会単独ではなく、多くの住民と村内の諸団体の協力があって初めて実現したものである。改修にあたっては、ヒースクラ荘園(Hiiskulan kartano)からの無利子融資、広域組織Ykkösakseli ry(LEADER地域振興団体)の投資助成、募金を組み合わせ、上階を村の集会所に仕立てたと同計画書は記している。
いくらかかったか
購入価格は1ユーロだった(Vihtijärven kyläsuunnitelma 2010)。Maaseudun Tulevaisuus(2014年)も「名目価格」で買い取ったと伝えている。改修にかかった総額を伝える出典は見当たらなかった。
資金の組み合わせ方は分かっている。同計画書(2010年)によれば、ヒースクラ荘園からの無利子融資、Ykkösakseli ry(LEADER)の投資助成、募金、そして住民の労働奉仕(talkoot)を合わせて改修を賄った。同計画書が書かれた2010年時点では、自治体が1階を学校用に村協会から借りており、その賃料収入を無利子融資の返済に充てていると記されている。
真似するなら最低何が必要か
第一に、建物の所有権を住民組織が持つこと。ヴィヒティヤルヴィ村協会は校舎を自治体から買い取り、計画書が書かれた2010年時点では「貸す側」として自治体と賃貸借契約を結んでいた(Vihtijärven kyläsuunnitelma 2010)。所有権が住民側にあることで、改修や用途を決める権限も住民側に残る。
第二に、労働奉仕を資金の代わりに使うこと。Maaseudun Tulevaisuus(2014年)は、村協会が借入をしたうえで改修を「一部は労働奉仕(talkoilla)」で行ったと書いている。同計画書も、改修は村協会単独ではなく多くの住民と村内の団体の協力があって初めて実現したと記す。
第三に、閉校提案が繰り返し出ることを見込んでおくこと。Maaseudun Tulevaisuus(2014年)によれば、ヴィヒティ市は財政再建のため5つの村の学校の閉校を議会にかけ、ヴィヒティヤルヴィもその一つになった。ほぼ50の団体(村協会や保護者会など)が地元紙に一面広告を出して反対したと同記事は書いている。ヴィヒティヤルヴィ村協会(2020年11月9日)によれば、2020年にも同様の閉校提案が出たが、11月9日の議会で31対12により否決された。一度守った学校でも、閉校提案は繰り返し出うる。
第四に、性格の異なる資金源を組み合わせること。無利子融資・LEADER助成・募金・労働奉仕という4種類の資金・労力を組み合わせたことが、村の計画書から読み取れる。
今どうなっているか
2023年4月25日時点で、Kuntalehtiは、人口およそ29,000人のヴィヒティ市の中にある人口500人のヴィヒティヤルヴィ集落で、学校に30人の児童が通っていると伝えている。同記事は、校舎を救ったことをきっかけに、村では次々と新しい事業や企画が生まれる時期が続いていると書いている。
ヴィヒティヤルヴィ村協会(2020年11月9日)によれば、2020年春に自治体首長が財政均衡化プログラム(VIHTA)の中で翌2021年秋のヴィヒティヤルヴィ校閉校を提案した。10月26日に自治体理事会(kunnanhallitus)はこの提案を予算案から一度外したが、11月9日の議会本会議で提案を再び予算に加える動議が出され、31対12で否決された。同協会は、これにより学校が存続を続けると伝えている。
参照した出典の中に、村協会の運営や改修そのものを問題視する報道は見当たらなかった。ただし自治体側の財政上の理由からの閉校提案は2014年と2020年の少なくとも2度あり、Maaseudun Tulevaisuus(2014年)は自治体の財政再建担当者の側の考え方(閉校による経費削減)も同時に伝えている。2023年より後の状況を確認できる出典は見つからなかった。
出典
- Palkittu kylä taistelee koulustaan — Maaseudun Tulevaisuus(2014-11-09)
- Vihtijärven koulun pelastaminen kohensi kylähenkeä – Nyt kylään halutaan lisää asukkaita — Kuntalehti(2023-04-25)
- Vihtijärven koulua ei lakkautettu vieläkään — Vihtijärven kyläyhdistys ry(2020-11-09)
- Vihtijärven kyläsuunnitelma 2010 — Vihtijärven kyläyhdistys ry(2010)
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