電気を売る協同組合をつくり、組合員の出資で発電所を建てた
Som Energia
2010年にジローナで発足し、2016年3月にはトレドに地域班ができた。2019年5月には同年の売上を6,400万ユーロ超と見込み1日37人が加入していると報じられ、同年12月には組合員1,600人の出資で太陽光発電所が開かれた。2026年5月時点で発足から15年が経っている。
何をしたか
2010年にカタルーニャ州ジローナで発足した、再生可能エネルギーの電気を売る協同組合。買う人が組合員になり、その出資で発電所を建てるという形をとる。elDiario.es は2019年12月2日、組合員1,600人の出資による太陽光発電所が開かれたと報じ、同年5月12日にはその年の売上を6,400万ユーロ超と見込み、1日あたり37人が加入していると報じている。組合員の地域班は各地に置かれ、2016年3月にはトレドにできた。戦略の決定は総会で組合員が議決する形になっていると、運営側の理事は2026年5月の寄稿で述べている(同記事は当事者による寄稿であり、出典として独立していない)。同じ寄稿によれば、2026年時点で売る電気の2割超を自前で発電している。
誰が始めたか
elDiario.es(2019年12月2日)は、2010年にジローナで生まれたとき、Som Energia はエネルギーの仕組みを変えようとする国内で最初の協同組合だったと書いている。大学が発端だという説明は、運営側の発信にしかない。 El Salto(2026年5月21日)に寄せた組合の理事 Mariela Frankon の記事は、ジローナの大学の環境で生まれ、ヨーロッパのエネルギー協同組合の経験に学び、100%再生可能という形を押すと決めた小さな集まりから出発したと書いている(同氏は協同組合と社会的経済の経営を教える大学院の教員でもある)。この記録が引ける独立した報道は、発足の場所と年までしか書いていない。 なお elDiario.es(2017年2月6日)は、こうした再生可能エネルギーの協同組合が2010年以降に生まれた背景として、1990年代半ばの電力市場の自由化が、発電・送配電・小売を垂直に握る大手の構造を崩すはずだったのに崩さなかったという見方を並べている。同記事によれば、新規参入が比較的少なく、固定料金・税・託送料の比重が大きいため自由競争が最終価格にほとんど効かず、自由化は再生可能エネルギーへの約束をまったく伴わなかった。この文脈の記述は記事が示した見方であって、Som Energia 自身が掲げた理由としては書かれていない。
いくらかかったか
入口は100ユーロである。 elDiario.es(2016年3月4日)は、この動きに加わるには初期の出資100ユーロが要り、抜けたければ全額が戻ると書いている。継続の義務はなく、手続きが済めば設備を替えずに電気の契約に移れる。 同社の別のセクション(2017年2月6日)でも、Som Energia の広報担当 Marc Roselló が、協同組合という形をとる以上、客であると同時に組合員になるのだから初期の出資が要ると説明している。発電所のほうは別建ての任意の出資でまかなわれる。 elDiario.es(2019年12月2日)は、セビリア県ロラ・デル・リオに開かれた La Florida 太陽光発電所(1.5MW、年およそ2,600MWh、およそ1,000世帯の年間消費に相当)について、100万ユーロ強の投資が100%組合員の出資でまかなわれたと書いている。同記事の本文は、組合員1,500人の任意の出資が合わせて500万ユーロに達し、その資金でこの発電所と、同じロラ・デル・リオの2MWの La Matallana、それにアルメリアの Tahal の1か所(手続きのため未開所)を建てたとしている(同記事の見出しは1,600人としており、記事の中で人数が合っていない)。規模の推移としては、elDiario.es(2019年5月12日)が、2018年の連結売上を4,940万ユーロ(前年比52.1%増)、2019年の売上見込みを3つの事業を合わせて6,400万ユーロ超とし、2012年から2018年のあいだに6,517人の組合員から1,130万ユーロを再生可能エネルギー事業のために集めたと書いている。同記事はまた、2018年の営業結果が黒字だったのは、消費1kWhあたり1セントの任意の寄付によるところが大きいとする監事の指摘を伝えており、それがなければ営業損益は2万2,000ユーロ余りの赤字だったとしている。
真似するなら最低何が必要か
- 出資が返ってくる形にしておくこと。 上記のとおり入口は100ユーロで、やめれば全額戻り、継続の義務はない(elDiario.es 2016年3月4日)。elDiario.es(2017年2月6日)は、協同組合は非営利で配当を分けず、利益は組合に再投資されるとし、組合員として金銭的に儲かることはないと明記している。加入の敷居を下げるのは利回りではなく「返る」という一点である。
- 小売と発電を分けて考えること。 elDiario.es(2017年2月6日)は、Som Energia を除けば多くの協同組合は主に小売であり、より大きな生産者と配電会社のサービスを売っているだけだと書き、そのぶん供給の心配は要らないとしている。同記事の時点で Som Energia が自前で発電していたのは売る電気の6%で、9か所の太陽光発電所と小水力を持つと広報担当は述べている。elDiario.es(2019年5月12日)は、2018年は小売の伸びが速すぎて、売った246,825MWh のうち自前の発電でまかなえたのは3.33%だったと書いている。買ってくれる人を集めるほど自給率は下がる、という構造がここに出ている。
- 小売だけでは黒字にならないことを織り込むこと。 elDiario.es(2019年5月12日)は、監事が総会で決めた4〜6%という粗利率の方針では小売の黒字を確保するのに足りないと指摘し、2018年の粗利率6.18%(300万ユーロ弱)に対して経常費用が312万ユーロで、営業段階では144,444.98ユーロの赤字だったと書いている。監事は、売上の1〜2%以上の黒字を確保できるよう価格の決め方を変えることが不可欠だと結論している。
- 各地に組合員の集まり(地域班)を置くこと。 elDiario.es(2016年3月4日)は、トレドの地域班が総会方式で市民が組合員にも顧客にもなれる地域の場として機能していると書き、講演を開き、見本市に出て、情報や相談や勧誘の場をつくる、参加とボランティアの場でもあるとしている。elDiario.es(2019年5月12日)によれば、総会に上がる提案は全国に広がる53の地域班を通じた組合員の議論をもとに決まる。
- 銀行に頼らないと決めるなら、その分を集める算段を持つこと。 elDiario.es(2019年3月2日)は、組合員が2018年の総会で、事業の資金調達に従来型の銀行を使わないと決めたと書いている。同記事はまた、2017年10月の出資の受付が15日間で500万ユーロを集め、それが3か所の新しい発電所を可能にしたとし、当時ナバーラでの風力発電所の建設(2,600万ユーロの投資を要し、自給率50%に届く)を検討していたと書いている。
- 手続きの時間を工期に足しておくこと。 elDiario.es(2019年12月2日)で組合の担当者 Nuri Palmada は、アルメリアの発電所について1年前に建て終わっているのに稼働の許可がまだ出ないと述べ、いま電気を系統に流す許可を得るほうが設備を建てるより時間がかかると語っている。
今どうなっているか
2026年8月の時点で確認できた最も新しい記録は、2026年5月21日の El Salto である。ただしこれは組合の理事による寄稿であり、独立した報道ではない。 同記事によれば、協同組合は2025年12月に15年を迎え、組合員は8万7,000を超える個人と団体になり、売る電気の20%超を自前で発電している。 同氏は、創立時から、戦略の決定が一部の者の利益ではなく集団の利益で決まるよう、組合員一人ひとりが発言権と議決権を持つべきだと主張してきたと書き、発電所への投資が時間をかけて回収される組合員の任意の出資でおおむねまかなわれてきたと述べている。同記事はまた、2010年の設立から今日までを振り返る記念のドキュメンタリーを組合が出したと書いている。独立した報道で確認できるのは2019年12月までで、その後の組合員数・売上・自給率を第三者が報じた出典は無い。 status_current は「継続中」のままである。
出典
- La "democracia energética" llega a Toledo de la mano de Som Energia — elDiario.es(2016-03-04)
- ¿Contratar la luz con una cooperativa? Aclaramos las 10 dudas más frecuentes — elDiario.es(2017-02-06)
- La otra electricidad posible: seis ejemplos de socialización de la energía renovable en España — elDiario.es(2019-03-02)
- La cooperativa renovable Som Energia espera facturar este año más de 64 millones y suma 37 socios al día — elDiario.es(2019-05-12)
- La revolución energética de los ciudadanos: La cooperativa Som Energia inaugura una nueva planta solar con aportaciones de 1.600 socios — elDiario.es(2019-12-02)
- 15 años demostrando que esto no va de luz — El Salto(2026-05-21)
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