市営屠畜場だった建物群を、棟ごとに文化施設へ変えていった
Matadero Madrid
この記録の出典は単一の媒体によるものです。
敷地は2006年に文化施設として開いた。2022年に一棟が有料の常設展示に貸し出されて運営方針の変化が報じられ、2024年には建物の完成から100年の催しが行われた。2026年には敷地の過去をめぐる記録の掘り起こしが報じられている。
何をしたか
マドリード市アルガンスエラ区にある旧市営屠畜場の建物群を、市が棟ごとに文化施設へ変えていった。建物は Luis Bellido の設計で1924年10月に完成し、市営の屠畜場と家畜市場として開いたものである。elDiario.es は、この敷地が2006年に当時のガジャルドン市長のもとで文化施設として開かれたと書いている。2022年には Nave 16 が10年の事業権で有料の没入型展示施設に貸し出された。市の文化事業会社 Madrid Destino の Ángel Martín Vizcaíno は市議会の委員会で、最初の週末に6,000人が訪れたと述べている。同じ記事は、120を超えるマドリードの文化団体が市の文化担当に不満を表明したとも書いている。
誰が始めたか
マドリード市である。elDiario.es は、この敷地が2006年に当時のガジャルドン市長のもとで文化施設として開かれたと書いている。運営は市の文化事業会社 Madrid Destino が担い、2022年の記事では同社の Ángel Martín Vizcaíno が市議会の委員会で新しい施設について説明している。建物そのものは市のもので、運営は市の会社、個々の空間の一部は民間の事業権という三層になっている。
方針は市の文化行政の担当者によって変わる。 2022年の記事は、市の文化担当だった Andrea Levy が Medialab Prado を立ち退かせてマタデロへ移し、その跡地に「現代創造」の拠点を開いた経緯に触れ、この時期に施設の位置づけが動いたと書いている。
いくらかかったか
施設全体の整備費は確認できなかった(funding_scale は unknown_fields)。一方で、個別の空間がどういう条件で貸されているかは分かる。
2022年の elDiario.es によれば、Nave 16 に入った没入型展示施設は10年の事業権で、事業者は市に年間42万6,000ユーロの賃料を払い、年に少なくとも3本の没入型作品を出す義務を負う。月あたりにすると3万5,000ユーロを超える。
入場料は一般14.90ユーロ、65歳以上は窓口で12.90ユーロ、子どもも9.90ユーロを取る。同紙は、4人家族がクリムトの絵を投影する催しを見ると50ユーロ近くになると書いた。開業から最初の週末の来場は6,000人だった。公有の空間で、来場者が払う入場料によって短期に採算が立つ構図を、同紙は問題として提示している。
真似するなら最低何が必要か
1. 建物が公有であること。 44棟ではなく1つの敷地に十数棟が集まる規模の建物群を、市が持っている
2. 運営を担う専門の主体。 市の直営ではなく文化事業会社が運営している
3. 空間ごとに条件を変えられる仕組み。 無料の展示と、10年の事業権で貸す有料の施設が同じ敷地に併存している
4. その配分を決める責任者がいること。 上の配分は文化行政の担当者が決めており、担当者が代われば配分も動く。 2022年に120を超える文化団体が不満を表明したのはこの点である
5. 敷地の過去を扱う用意。 下記のとおり、100年の建物には市が語ってこなかった歴史がある
確認できないのは、施設全体の年間予算、無料と有料の比率、そして市が事業権の条件をどう決めたかである。
今どうなっているか
2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2026年1月15日の elDiario.es の記事である。内容は催しの案内ではなく、敷地の過去の掘り起こしである。
同紙によれば、今日「高級文化」の場となっているこの敷地は、戦後に「マタデロの乞食公園(Parque de Mendigos de Matadero)」と呼ばれる収容の場を抱えており、838人が死んだとされるその存在は数十年にわたって知られてこなかった。人類学者 Martínez Aranda が記憶の一部を掘り起こしたのち、芸術家とアルガンスエラ地区の住民組織が、犠牲者を記憶するための催しを組んだ。関連記事の見出しは、ひと冬で800人以上が死んだと伝えている。
同記事はまた、週末にマタデロの棟のあいだを歩いても、かつて家畜市場であり屠畜の場であったことを想像させるものはほとんどないと書き、この場所を労働者階級の舞台として掘り下げた取り組みはあるものの、いま支配的なのは中産階級の作法だと指摘している。
Terroir はこの評価を判定しない。 ただし、2024年10月の100周年の催しが建物の歴史を扱う展示や建築の円卓会議を並べたのに対し、その1年余りあとに住民と研究者と芸術家の側から別の歴史が提示された、という順序は記録しておく価値がある。
出典
- Matadero se abre a la cultura de pago — elDiario.es(2022-03-23)
- Matadero Madrid celebra su centenario con más de 20 actividades gratuitas y una experiencia inmersiva — elDiario.es(2024-10-25)
- Vecinos, académicos y artistas recuperan la memoria de Matadero como espacio de represión — elDiario.es(2026-01-15)
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