周辺地域の「その場所にしかないもの」に絞って、財団が物を作る事業を助成した
Stedet Tæller
2019年3月の Danske Landskabsarkitekter は、2011年から2016年のキャンペーンに242件の応募があり、35件が実現したと書いている。2024年5月には、同名を継ぐ Stedet Tæller X で8件が選ばれたと報じられた。
何をしたか
デンマークの Foreningen Realdania が、周辺地域(yderområder)で、その土地にしかない場所の力(stedbundne potentialer)に的を絞り、物を作る事業を助成したキャンペーン。Danske Landskabsarkitekter は2019年に、2011年から2016年にかけて自治体と地元の担い手を支え、242件の応募のうち35件が実現したと書いている。同記事は、狙いが暮らしの質を上げる具体的な物を作る事業を支えることにあったと書いている(Realdania の programchef Stine Lea Jacobi の考えは「真似するなら最低何が必要か」節に記した)。Dagens Byggeri は2014年に、モーターウェイが尾根を切る地点に「Jyske Aas への入口」を作る事業で設計者が選ばれたと報じ、2015年には Gammel Skagen の日没の広場をめぐって30の設計事務所が関心を示し、フレデリクスハウン市と地元の土地所有者組合が3社に絞ったと報じている。
誰が始めたか
始めたのは Realdania である。 Dagens Byggeri(2014年10月16日)は Stedet Tæller を Realdania のキャンペーンと書き、2016年までデンマークの周辺地域(yderområder)で具体的で物理的な事業を支援するものだとしている。Danske Landskabsarkitekter(2019年3月12日)は、これが周辺地域の特別な可能性と潜在力を新しい目で見よ、という Realdania からの招きだったと書き、2011年から2016年にかけて自治体と地元の担い手(ildsjæle)が潜在力を育てるのを支えたとしている。個々の事業を動かす主体は事業ごとに違う。Jyske Aas では projektholder が置かれ、地元の担い手や関係者を束ねる形が取られた(Dagens Byggeri 2014年10月16日)。Gammel Skagen の日没の広場では、フレデリクスハウン市と地元の土地所有者組合(Grundejerforeningen Gammel Skagen)が共同で設計事務所を公募し、選定も両者が行なった(Dagens Byggeri 2015年9月18日)。つまり財団が枠と資金を出し、申請と実施は自治体と地元の側にある、という組み方である。
いくらかかったか
金額は、参照した4本のどこにも書かれていない。 4本とも通しで読み、kroner kr. mio. millioner budget beløb finansier で全文を検索して確かめた(該当したのは、いずれも記事末尾の別記事へのリンク見出しに含まれる金額だけである)。分かるのは規模ではなく件数と歩留まりのほうで、Danske Landskabsarkitekter(2019年3月12日)は、Realdania が242件の応募を受け、そのうち35件が支援を得て実現したと書いている。応募1件あたりの助成額も、キャンペーン全体の総額も、この記事には無い。事業ごとの費用も同様で、Dagens Byggeri(2014年10月16日)は Jyske Aas の事業について、勝った設計者チーム(CUBO Arkitekter A/S と、下請けの Schønherr・Bysted・Niras)と、Rambøll が発注者側の助言者(bygherrerådgiver)に付いていることを書くが、金額は書いていない。
真似するなら最低何が必要か
- 「その土地にしかないもの」を先に決めること。 Danske Landskabsarkitekter(2019年3月12日)は、狙いが stedbundne potentialer(土地に結びついた潜在力)を足がかりに、暮らしの質を上げる具体的で物理的な事業を支えることにあったと書いている。Realdania の programchef である Stine Lea Jacobi は同記事で、もとからそこにある特別なものを足がかりにすれば、訪ねてよい場所であり同時に住んでよい場所を作れる、というのが自分たちの仮説だと述べている。実際に選ばれたのも、尾根の切り通し、日没の見える広場といった名指しできる一点である。
- 申請できる地元の主体。 上記のとおり支えられたのは自治体と地元の担い手であり、この2つが揃わないと申請の側が立たない。Gammel Skagen では市と土地所有者組合、Jyske Aas では projektholder を置いた地元の枠組みが受け皿になっている。
- 設計者を公開で選ぶ手続きと、それを回せる体力。 Gammel Skagen では、市と土地所有者組合が6月に関心表明を募り、8月中旬の締切までに30の設計事務所が名乗りを上げ、そこから3社(Snøhetta、SLA、Kristine Jensens Tegnestue)に絞り、提案の提出期限を12月15日としている(Dagens Byggeri 2015年9月18日)。Jyske Aas でも、6社から3社、そして1社へと絞られる過程が夏のあいだ進んだと projektholder が説明しており、評価グループが提出された3案から勝者を決めている(Dagens Byggeri 2014年10月16日)。選ぶ側に、半年がかりの選定を運営する手が要る。
- 選んだあとに自治体の手続きが残ることの織り込み。 Dagens Byggeri(2014年10月16日)は、勝った案がスケッチ段階の案であり、これから Brønderslev 市が扱うことになると書いている。設計者が決まった時点は着工ではない。
- 終わったあとに評価が公表される覚悟。 キャンペーン本体(2011–2016年)の結果は、終了から3年後の2019年に応募242件・実現35件という形で公表され、実現率が数字として残っている(Danske Landskabsarkitekter 2019年3月12日)。
- 芸術と設計を組ませるなら、地元の代表を選考に入れること。 同名を継ぐ Stedet Tæller X について Dagens Byggeri(2024年5月2日)は、Ny Carlsbergfondet と Realdania の共同の取り組みであり、8件の勝者を地域社会の代表と協働で選んだと Stine Lea Jacobi が述べたと伝えている。
今どうなっているか
2026年8月の時点で確認できた最も新しい記録は、2024年5月2日の Dagens Byggeri である。 この記事が扱うのは同名を継ぐ Stedet Tæller X であって、この記録が扱う2011年から2016年のキャンペーン本体ではない。同紙によれば Stedet Tæller X は Ny Carlsbergfondet と Realdania の共同の取り組みで、芸術と建築をてこにデンマークの農村部の自治体で場所を育てるものであり、専門の審査を経て8件の案が実現に向けて選ばれた。内訳は、芸術家と設計事務所が組む3件(Rømø の Sønderstrand、Ringkøbing Fjord の Holmsland、Femern Bælt 連絡路のかかる Rødby)と、設計だけの5件(Hadsund の Brolandingen、Skive の Flyndersø Mølle、Langeland の Lindelse Mølle、Samsø の Langør Havn、Haderslev の南の Slivsø)である。同紙は、地元の事業主が夏休み前に芸術家・設計事務所と会い、案を現実にする作業に入るとしている。キャンペーン本体(end_year: 2016)については、2019年3月の評価の公表以降を報じた出典が無い。 また出典は Stedet Tæller X を本体の「後継」とは書いていないため、ここでも後継とは書いていない。
出典
- Skulpturel leg i Jyske Aas — Dagens Byggeri(2014-10-16)
- Stærke tegnestuer konkurrerer om Solnedgangspladsen i Gammel Skagen — Dagens Byggeri(2015-09-18)
- Evaluering af Stedet Tæller viser positive resultater — Danske Landskabsarkitekter(2019-03-12)
- 'Blændende ideoplæg' skal øge livskvaliteten på helt særlige steder — Dagens Byggeri(2024-05-02)
この記述は間違っていますか。受け取ってから2週間以内に、直すか直さないかを返します。