郊外の駅前に共用の家つきの町を1つ作った
Nærheden
2018年に最初の住民が入居し、2022年にはHøje-Taastrup自治体の純転入4.2%の半分をこの地区が占めた。2023年9月に約半数が入居、2026年1月時点で約6,000人が暮らす。
何をしたか
コペンハーゲン西郊、ヘズフーセネ(Hedehusene)の駅前の土地につくられている新しい市街地。2013年に Høje-Taastrup 自治体と Realdania By & Byg のパートナーシップとして立ち上げられた事業で、Dagens Byggeri 2022年2月7日の記事によれば、立ち上げ当初から「共同体と社会的な持続可能性」が中心に置かれ、地区に3棟の「街区の家(kvarterhus)」を配する計画が組まれた。1棟目の250m²の共用棟は2022年2月に開いている。地区の背骨には「ループ(Loopet)」と呼ぶ緑の帯が通り、学校・保育所・体操施設も置かれた。2018年に最初の住民が入居し、2023年9月時点で約3,700人、つまり想定される7,000人強の住民のうち約半分が入居しており、2026年1月時点で約6,000人が暮らす。同月、駅の真向かいに木造の街区の家がもう1棟開いた。
誰が始めたか
先に組んだのは自治体と財団の2者である。 BygTek 2023年9月26日と Dagens Byggeri 2022年2月7日は、いずれもこの都市開発が2013年に Høje-Taastrup 自治体と Realdania By & Byg のパートナーシップとして立ち上げられたと書いている。土地の所有者や建設会社ではなく、自治体と建築・都市開発の財団が最初の当事者である。
次に置かれたのが事業を回す会社である。 出典に「NærHeden のプロジェクト部長」として繰り返し出てくるのが Ole Møller で、2023年時点で地区の東西の進み方を説明しているのはこの人物である。財団側の窓口は Realdania By & Byg の代表 Peter Cederfeld で、2022年と2026年の両方の記事で発言している。
建物を建てるのは民間である。 BygTek によれば、鉄道沿いの北東の角には FB Gruppen が最初の2棟の賃貸集合住宅(Birken と Bøgen)を建て、同じ事業主が Kastanje Rækkerne を建てた。西側に残っていた住宅の区画は Home.Earth が担う。つまり、区画を用意する主体と建物を建てる主体が分かれている。
住民組織は早い段階から運営の側に入っている。 2022年2月の1棟目の共用棟(kvarterhus)の開所には、自治体の市長 Michael Ziegler、Realdania By & Byg の Peter Cederfeld、NærHeden の Ole Møller と並んで、地区協会(Bydelsforeningen Nærheden)の理事が立っている。
設計と施工の分担も出典に書かれている。 1棟目(Urtehaven の共用棟)は Arkitema Architects の構想案にもとづいて Panum & Kappel が設計し、KBS Byg が一括請負で建てた。
いくらかかったか
金額は確認できなかった。 出典3本はいずれも共用棟の開所と入居の進み方を扱っており、事業費・負担割合・区画の売却額のいずれも書いていない。代わりに、費用がどこから出る構造になっているかは読み取れる。
- 土地と基盤の側は、自治体と財団のパートナーシップが担っている。 2013年に立ち上がったのはこの2者の組み合わせであり、2026年1月の記事でも同じ2者の名前が出ている
- 建物の側は民間が出している。 BygTek 2023年9月26日は、全区画が投資家に売れていると書いている。住宅を建てているのは FB Gruppen や Home.Earth であって、財団や自治体ではない
- 共用棟は単独の建物ではなく、集合住宅の一部として建てられている。 2026年1月に開いた2棟目は、6階建ての集合住宅の中に組み込まれた形である。共用施設だけを別に建てるより、住宅の事業に抱き合わせている
- 公共施設は自治体の側にある。 学校・保育所・体操施設(springcenter)は自治体の設備として説明されており、2026年1月の記事で市長代理 Kurt Scheelsbeck はこれらを含む提供が移住先としての魅力をつくっていると述べている
funding_scale は unknown_fields のままとした。出典に総額が無く、財団と自治体の負担割合も書かれていないためである。
なお2026年1月の記事の同じ画面には Realdania の他の助成(別の事業)についての関連記事が並んでいるが、それらは Nærheden の費用ではないので採らなかった。
真似するなら最低何が必要か
1. 駅の徒歩圏にまとまった土地があること。 2026年1月に開いた2棟目の共用棟はヘズフーセネ駅の真向かいに立ち、緑の帯「Loopet」に面している。地区の骨格が駅と緑地から引かれている
2. 自治体と、長く付き合える資金の出し手が組むこと。 2013年に組んだ Høje-Taastrup 自治体と Realdania By & Byg の2者が、2026年の記事でも同じ立場で出てくる。入居が半分を超えるまでに10年以上かかる事業なので、途中で降りない相手が要る
3. 共用の家を、住宅より先に開けること。 計画は3棟の「街区の家」で、1棟目は250m²・木造で2022年2月に開いた。カフェ室と小さめの住民室が直接つながって開放でき、大小の厨房と木のテラスを備える。建物の中身が決まっている
4. 住民が使い方を決める器。 地区協会が開所時から運営に入っており、1棟目は2026年時点でゲームの夜・ハロウィーン・クリスマスの集まりから200人が集まる夏祭りまでに使われている
5. 区画を投資家に売って建物は民間に建てさせる形。 全区画が売れており、地区を用意する主体と建てる主体が分かれている
6. 環境の数値を出せる建て方。 2026年1月の記事は、2棟目の建設が1m²あたり4.7kgのCO2排出で、関係者によればこれは大規模な集合住宅としてデンマークの記録であり、建築規則の要求より60%以上低いと書いている(数値の出所は事業に関わる当事者である)
確認できないものは、事業費の総額、財団と自治体の負担割合、共用棟1棟あたりの建設費、区画の売却額、3棟目の共用棟の時期、想定される7,000人強に達する時期である。
今どうなっているか
2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2026年1月12日の Dagens Byggeri の記事である。
同記事によれば、150人が立ち会うなかでテープが切られ、約6,000人が暮らす地区に2棟目の「街区の家」が加わった。 場所はヘズフーセネ駅の真向かいで、緑の帯 Loopet に面している。木造で、6階建ての集合住宅の一部として建てられた。1棟目(2022年開業・同じく木造)は、住民がゲームの夜・ハロウィーン・クリスマスの集まり・200人が集まる夏祭りに使っていると同記事は書いている。
人口は3本の出典で追える。 2022年2月時点で市長 Michael Ziegler は約2,000人としたうえで、1年ほどで倍になったと述べている。2023年9月時点では約3,700人で、想定される7,000人強のうち半分が入居し、その年さらに800人が入った。同年の記事は、2022年に Nærheden が Høje-Taastrup 自治体の記録的な純流入4.2%の半分を占めたと書いている。 2026年1月時点では約6,000人である。
完成時期の見通しは1本にしかない。 BygTek 2023年9月26日は、全区画が投資家に売れており、地区は3〜4年後に完成すると見込まれていると書いている。同時点で西側にはまだ Home.Earth の住宅と、教会の集会室・自治体のクラブ棟が入る空地が残っていた。2026年1月の記事に完成時期の記述はない。
出典の性格について明記しておく。 3本はいずれも建設業界紙であり、発言しているのは自治体の市長・財団の代表・事業のプロジェクト部長、つまり事業の当事者である。 記事に PR・Sponsored の表示は見当たらないが、独立した第三者による検証や、否定的な報道は、今回探した範囲では見つからなかった。
出典
- Ny bydel i Hedehusene åbner det første af flere mødesteder — Dagens Byggeri(2022-02-07)
- Tilflyttere flokkes om Nærheden — BygTek(2023-09-26)
- Beboerhus er indviet til ny bydel i Hedehusene — Dagens Byggeri(2026-01-12)
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