Terroirすべての記録このサイトについて探している事例

住む人を増やす・戻す住まいと暮らし(住宅・医療・福祉・子育て)5万人未満

5,000人以上の都市を対象から外した農村向け住宅補助をつくり、既存の家の改修まで入れた

Programa de Habitabilidad Rural

チリ / 全国(チリ全土) / 人口5,000人未満の農村・都市の集落(出典に出る例はビオビオ州とマウレ州サンラファエル)

5,000人以上の都市を対象から外した農村向け住宅補助をつくり、既存の家の改修まで入れた
© Diario Concepción — この写真が載っている記事

2015年の政令第10号で始まった。2018年にチリ大学住宅研究所の寄稿が選定の加点方式を取り上げ、2024年に World Habitat Awards で2位、2025年10月には8,659戸の引き渡しと完了が発表されている。

何をしたか

チリの住宅都市計画省(MINVU)が、人口5,000人以上の都市集落を対象から外した住宅補助を、2015年の政令第10号(D.S. N°10)で定めた制度。対象は農村、および人口5,000人までの都市集落に住む世帯である(INVItro 2018年9月26日)。

新築だけでなく、いま建っている家の改修・増築が同じ制度に入っている。 新築か既存住宅の改善かを選べることは CNN Chile(2024年1月4日)が書いている。改修の側で対象に挙がっているのは、屋根・床・塗装といった住宅一般の補修、基礎的な生活インフラ、断熱、省エネ・節水である(INVItro 2018年9月26日)。寝室の増築や屋内面積の拡張、住宅が建つ敷地の状態を改善する工事、共同設備の建設・改修も対象である(Diario Concepción 2020年10月22日)。

申請は個人でも共同でもでき、農村管理事業体(Entidad de Gestión Rural)の助言を通して行う。 最低自己貯蓄は1.5 UF(4万3,000ペソ)からで、60歳以上には貯蓄を求めない(同)。

2024年1月、World Habitat Awards 2024 で2位に選ばれた。

誰が始めたか

制度をつくったのは住宅都市計画省である。 2015年の政令第10号は、国内のどこに住む世帯であっても居住条件を改善できるようにする制度として、人口5,000人以上の都市集落だけを対象から除外する形で定められている(MINVU 2015、INVItro 2018年9月26日が引用)。

実務は複数の主体に分かれている。 公募の開始を告げるのは省で、設計済みで申請する場合はその案件が地方の住宅都市計画公社(SERVIU)の承認を得ている必要がある。世帯の側に立って申請を助言するのは農村管理事業体で、その地域で認定された事業体は地方の SERVIU または SEREMI に問い合わせて知る手順になっている(Diario Concepción 2020年10月22日)。

2022年に位置づけが変わっている。 CNN Chile(2024年1月4日)は World Habitat のサイトを引いて、2022年にチリ政府が緊急住宅計画を発表し、2025年12月までに26万戸をつくる目標を置いたこと、本プログラムがその一部に置かれたことを伝えている。Colegio de Arquitectos de Chile(2024年1月4日)も、本プログラムを緊急住宅計画の行動線の一つと書いている。

なお2020年10月22日の Diario Concepción の記事は、署名欄に「Comunicado de Prensa(報道発表)」と記されている。 発表そのものに由来する記事である。

いくらかかったか

世帯の側の負担:最低自己貯蓄は1.5 UF(4万3,000ペソ)からで、工事の規模によって変わる。60歳以上には貯蓄を求めない(Diario Concepción 2020年10月22日)。

公費の側:Colegio de Arquitectos de Chile(2024年1月4日)は、2024年予算法で本プログラムに2億9,000万ドルを充てる見込みだと書いている。地方単位では、2020年の公募でビオビオ州に43億ペソを充てると発表された(Diario Concepción 2020年10月22日)。

この2020年の記事は、見出しと本文で額が食い違っている。 見出しは「40億ペソ」、本文は「43億ペソ」である。出典の記述の不整合としてそのまま並べておく。

1戸あたりの単価は、参照した5本のどこにも書かれていない。 総額と戸数から割り戻すことはしない。

真似するなら最低何が必要か

この制度で真似できる単位は、農村の家そのものではなく、誰を対象に入れ、誰に申請を代行させ、何に加点するかの決め方である。

第一に、対象を人口で線引きし、その根拠となる統計を指定すること。本制度は人口5,000人以上の都市集落を外している。2020年の公募では、この判定に2002年の人口・住宅センサスの人口データを使うと明記されていた(Diario Concepción 2020年10月22日)。どの年のどの統計で線を引くかまで書かないと、対象は決まらない。

第二に、申請を代行する中間組織を制度の中に置くこと。本制度では農村管理事業体が助言を担い、世帯は個人でも共同でも申請できる。認定された事業体の一覧を、地方の窓口が持っている。

第三に、新築と改修を同じ制度に入れること。INVItro(2018年9月26日)は、農村の住宅が屋外の菜園・納屋・厩舎・井戸・薪を使う広い台所などを日常的に使う点を挙げ、別制度である家族資産保護プログラム(政令第255号)では増築の対象が浴室・台所・居間・食堂・洗い場に限られるため農村の使い方と合わない、と書いている。改修を別制度に切り出すと、対象になる部屋の種類で落ちる。

第四に、対象者ごとに要件を外す枠を用意すること。60歳以上には自己貯蓄を求めない扱いが置かれている。

第五に、加点で誘導すること。2020年の公募では、設計済みで申請する場合に加点があり、上水・下水・電気の基礎工事、および太陽熱・太陽光・風力などの省エネ・節水設備の工事にも加点があった。

第六に、加点方式の副作用を見ておくこと。INVItro(2018年9月26日)は、マウレ州を国内で2番目に農村人口比の高い州(2017年の統計で32.05%)として取り上げたうえで、都市や幹線道路に近い農村コミューンが加点で不利になる例にサンラファエルを挙げている。行政区の54.63%が農村(2002年センサス)でありながら、州の水準では本制度への申請を勧められなかったと書いている。線引きの外にいるのではなく、線引きの内側にいながら順位で落ちる世帯が出る。

今どうなっているか

2026年8月時点で確認できたのは、2025年10月26日の記事までである。

目標戸数の達成が2025年10月に発表された。 Diario Concepción(2025年10月26日)によれば、住宅都市計画大臣カルロス・モンテスは、この政権期に本プログラムで8,659戸を引き渡しまたは完了したと述べた。当初目標は8,215戸で、その105%にあたる。さらに6,307戸が建設中で、2026年3月までに約1万戸を終える見込みだとされる。 同じ日、モンテス大臣は2025年の先住民特別公募の補助219件を世帯に手渡している。モンテス大臣は「この制度の目標は100%達成された」と述べたうえで、この制度は進めるのに苦労してきたとも述べている。

受賞時に示されていた規模は2万人超である。 CNN Chile(2024年1月4日)は MINVU 自身の発信を引いて、制度の開始以来2万人を超える人の暮らしが改善したとしている。Colegio de Arquitectos de Chile(同日)は、その時点までに2万人を超える人が住宅の建設または改修で対象になったと書いている。この2本は同じ受賞を扱っており、独立した一次情報の本数としては1本に数えた。 ただし Colegio de Arquitectos の記事には、World Habitat の最高経営責任者デビッド・アイルランドの発言や、同会会長ベアトリス・ブッチカルディが大臣に祝いの書簡を送ったことなど、CNN Chile に無い記述がある。

2018年の指摘に対する当事者の反論は確認できなかった。 INVItro(2018年9月26日)は本制度について、中央からの提案であり「都市の目で見られたもの」だと書き、参加型で地域ごとに差をつけた政策への転換が要ると続けている。参照した5本の中に、MINVU がこの指摘に応じた記述は無い。ただし2024年以降の記事では、制度の説明が変わっている。 CNN Chile(2024年1月4日)は領域的・先住民的な適合性の基準と、収入を生む生産用の区画をつくることに触れ、Diario Concepción(2025年10月26日)は孤立の度合い・生業・文化的な帰属・太陽光パネルや太陽熱集熱器といった設備を制度が考慮すると書いている。これが2018年の指摘への応答なのかどうかは、参照した出典からは判断できない。

出典

  1. Mejoramiento de vivienda: La deuda con la habitabilidad rural. — INVItro(チリ大学建築・都市計画学部 住宅研究所)(2018-09-26)
  2. Minvu anuncia inversión por $ 4 mil millones para subsidio rural en Biobío — Diario Concepción(2020-10-22)
  3. World Habitat Awards 2024: Programa del Minvu obtiene segundo lugar en premiación internacional — CNN Chile(2024-01-04)
  4. MINVU gana medalla de plata en los Premios Mundiales del Hábitat 2024 con el Programa de Habitabilidad Rural — Colegio de Arquitectos de Chile(2024-01-04)
  5. Minvu cumple meta del Programa de Habitabilidad Rural y la supera en 5% — Diario Concepción(2025-10-26)

最終確認日 2026-08-19

この記述は間違っていますか。受け取ってから2週間以内に、直すか直さないかを返します。

この記述について訂正を申し立てる

絞り込みや地図から探す(対話版)