国境をまたぐ鉄道を通し、車で越えていた通勤を電車に移した
Léman Express
2020年12月の Léman Bleu は、ストとコロナで初年度の利用が見込みを大きく下回ったと報じている。同記事は別に、年初は技術的な不具合で最大1割の列車が一部または全部運休したとも書いている。2022年6月の Radio Lac は、1日5万人の目標が2021年に2年前倒しで達成されたと報じている。
何をしたか
スイスのジュネーヴとフランス側の地域を結ぶ越境の鉄道網。Nos Alpes は2025年に、2019年12月15日に開業し、フランスとスイスの間で毎日数万人を運んでいると書いている。同記事によれば、この事業は越境の移動が車に偏って道路が詰まるという問題に応えるもので、2015年には1日55万件の移動のうち公共交通は16%だけだった。いまは230キロ・45の駅がジュネーヴ州とヴォー州、フランスのアン県とオート=サヴォワ県にまたがり、施設への投資は、両国・仏スイスの地域交通事業者・自治体(州・県・ローヌ=アルプ地域圏)・欧州連合によっておよそ18億ユーロ(スイスフランで約20億)だったと同記事は書いている。Léman Bleu は2020年に、10年かけて作られた CEVA の新駅がこの網を支えていると報じている。
誰が始めたか
発案者にあたる個人や、着手を決めた年は、参照した3本のどこにも書かれていない。 3本が書いているのは、何に応えるために作られたかと、誰が金と運行を担っているかである。
動機は道路の飽和である。 Nos Alpes(2025年6月16日)は、越境の移動で車が大量に使われた結果として道路が詰まるという歴史的な問題に応えるために作られたとし、2015年には1日55万件の移動のうち公共交通は16%だけだったと書いている。
出資したのは両国と、その間にある層である。 同記事によれば、施設への出資はフランスとスイス、仏スイスの地域交通事業者、州・県・ローヌ=アルプ地域圏といった自治体、そして欧州連合による。40編成の車両はスイス連邦鉄道(CFF)とオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏が出した。
運行の主体は後から作られた会社である。 同記事は、Léman Express を運営するのが2017年に CFF と SNCF が作った会社 Lémanis であり、営業と技術の面を調整すると書いている。統治には両国の公的な主体が加わる——連邦運輸局、ジュネーヴ州とヴォー州、オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏、両国の鉄道事業者である。
開業は2019年12月15日で、Léman Bleu(2020年12月15日)は、この網を支える CEVA の新しい駅が10年かけて作られたと書いている。
いくらかかったか
額を書いているのは Nos Alpes(2025年6月16日)の1本だけである。 同記事によれば、内訳は次のようになる。
- 施設への出資はおよそ18億ユーロ(スイスフランで約20億)。出したのはフランスとスイス、仏スイスの地域交通事業者、自治体(州・県・ローヌ=アルプ地域圏)、欧州連合である
- 40編成の車両はおよそ5億ユーロで、CFF とオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏が出した
- 一つの県の負担が例として挙がっている。 オート=サヴォワ県は施設におよそ1億ユーロを出し、そのうち6,100万ユーロが CEVA(Cornavin–Eaux Vives–Annemasse)のトンネルの分である
分かるのはここまでである。 国ごと・事業者ごとの分担の割合、運行そのものにかかる年ごとの費用、運賃収入で費用のどれだけを賄えているかは、参照した3本のどこにも書かれていない。運賃については、額ではなく利用者の評価の側だけが出てくる。 Radio Lac(2022年6月28日)は、調査で満足の理由に挙がったのが車両の快適さ・移動の速さ・経路・施設であり、逆に指摘されたのが運賃とデジタルでの案内だったと書いている。
真似するなら最低何が必要か
1. 越境の運行を1つの会社に束ねること。 Nos Alpes(2025年6月16日)によれば、Lémanis は2017年に CFF と SNCF が作った会社で、営業と技術の面を調整する。統治には連邦運輸局・ジュネーヴ州・ヴォー州・オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏・両国の鉄道事業者が加わる。2つの国の鉄道会社が別々に走らせるのではなく、共同の会社を先に作っている。
2. 出資者を層で組むこと。 同記事によれば、施設の18億ユーロは国・地域交通事業者・自治体・欧州連合が分けて出し、車両の5億ユーロは鉄道会社と地域圏が出した。オート=サヴォワ県の1億ユーロのうち6,100万ユーロがトンネル1本の分であるように、区間ごとに負担の相手が変わる。
3. 新しい線と既存の線を1つの網に接続すること。 Nos Alpes によれば、いまは230キロ・45の駅がジュネーヴ州・ヴォー州とフランスのアン県・オート=サヴォワ県にまたがる。Léman Bleu(2020年12月15日)は、それを支える CEVA の駅が10年かけて作られたとし、網全体の中で最も使われたのがこの CEVA の線だったと書いている。
4. 開業直後の落ち込みを織り込むこと。 Léman Bleu(2020年12月15日)によれば、当局は1日5万人を見込んでいたが、初年度はストと運休とコロナで大きく下回った。開業した12月はストと重なって2万5,000人、1〜2月は4万5,000人、3〜4月は5%まで落ち、その後およそ3万1,000人まで戻った。 同記事は、Léman Pass の乗車券が80万枚売れ、利用の半分がスイス、半分がフランスだったとも書いている。
5. 運行を支える人と車両の不具合を数に入れること。 同記事によれば、年の初めには技術的な不具合で最大1割の列車が一部または全部運休した。運行会社は、状況はかなり安定し運休は大きく減った(1日240本の運行で散発的なものだけ)と説明している。 遅れと運休の一因だった CFF の運転士不足については、300人が訓練中だと書かれている。
6. 開業の前と後を同じ設計で測ること。 Radio Lac(2022年6月28日)は、2019年(開業前)と2021年(開業2年後)の2回に分けた調査を伝えている。アヌマスとフランス側シャブレの地域で日常的な鉄道の利用が0%から7%になり、Léman Express を使ったことのある車の運転者の44%が車の利用を減らし、回答者の7%は車を1台手放した(主に隣接するフランス側)。同記事は、目標だった1日5万人が2021年に、見込みより2年早く達成されたとも書いている。
今どうなっているか
2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2025年6月16日の Nos Alpes である。
利用は伸び続けている。 同記事によれば、ストとコロナで難しい立ち上がりのあと、1日の利用は2022年の5万人から2024年秋には8万人超になった。 2024年秋から運行間隔を15分ごとに詰めたことで需要を部分的に吸収できたが、需要は伸び続けており、同記事は、新しい網が容量の限界に近づいていると書いている。
車が減ったことを示す数字は州の側から出ている。 同記事は、ジュネーヴ州が示した2024年時点のデータとして、トネクス=ヴァラールの税関で車が5年で27%減り、混雑する時間帯では36%減ったとし、アヌマスの税関とシャブレの軸でも似た動きが見られると書いている。
一方で、車そのものは増えている。 同記事によれば、車の保有台数が増え続け、ジュネーヴ地域が仕事と商いを引き寄せていることから、1日あたり15台の新しい車が道路に加わると見積もられている。 グラン・ジュネーヴの1日の移動は60万件で、2015年の55万件から絶対数としては増えている。
次の区間は、この記事の時点では予定である。 同記事によれば、関係者は2025年6月11日に5年を祝い、ジュネーヴ空港とアヌマスの間を、これまで貨物専用だったシャトレーヌのトンネルを通って象徴的に列車で移動した。この線は網の7番目になり、2025年12月に運行を始めるとされている。 同記事は、ジュネーヴ・コルナヴァン駅を通らずに空港とアヌマスを結び、空港の近くの Palaexpo への行きやすさも改善するとしている。実際に開業したかどうかは、参照した3本では確かめられない。
縮小・運行の打ち切りを伝える記述は、参照した3本の中には無い。
出典
- Une première année mouvementée pour le Léman Express — Léman Bleu(2020-12-15)
- Les effets du Léman Express sur la mobilité dans le Grand Genève — Radio Lac(2022-06-28)
- Léman Express, cinq ans de transport transfrontalier entre la France et la Suisse — Nos Alpes(2025-06-16)
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